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五輪で進む「東京リボーン」 近隣マンションに好評価

2020/3/10 2:00
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日経産業新聞は5日、首都圏「新築マンショントップ30」をまとめた。発売価格の高止まりや新型コロナウイルスの感染拡大で販売への影響が懸念されるなか、上位に来たのが「東京リボーン」物件。東京五輪を機に進む大型開発の近接地を狙った案件だ。変わる東京の地勢図を先取りしたマンションが好評価を得ている。

(注)地図上の丸数字は評価が上位のマンション

(注)地図上の丸数字は評価が上位のマンション

■高輪ゲートウェイ駅周辺で再開発

東京都港区。プラチナ通り(外苑西通り)の人の流れが変わるかもしれない――。

2022年12月、ここに地上45階建て(総戸数1247戸)、山手線内最大の新築マンション「白金ザ・スカイ」が立ち上がる。手がけるのは東京建物や住友不動産など大手デベロッパーだ。

立地が白金ということもあり第1期販売住戸の8割は億ション。それでも昨年秋から300戸を発売すると「売れ行きは良好で『建物の完成時までに完売』の目標が前倒しできそう」(東京建物・住宅営業第1部の小保内剛課長)。なかには43倍の抽選となった1LDKも登場した。

「山手線内でこれだけの規模の物件はまずない」(同)。しかも好立地であるため5000万~7000万円台のコンパクトタイプの場合、周辺相場の賃料から割り出した表面利回りは5%が期待できる。「将来的な資産価値は劣化しない」とみる消費者や投資家は多い。

こうした強気の見通しの背景となっているのが、大規模物件ならではの広い共用スペースと東京メトロ「白金高輪」から徒歩3分の立地。これだけでも山手線内では希少だが、もう1つ消費者からの支持の理由になっているのが半世紀ぶりの山手線の新駅、高輪ゲートウェイ駅とその周辺の再開発だ。

「品川開発プロジェクト(第1期)」では、オフィスなど5棟の高層ビルが建設予定。5棟の延べ床面積は85万1000平方メートルだ。東京ドーム18個分もの大規模開発が24年に立ち上がる計画で、完成すれば山手線内で最大級のビジネス地区開発プロジェクトと白金ザ・スカイは直線距離1キロメートル以内で結ばれることになる。

■選手村の晴海、虎ノ門エリアと直結

東京・晴海。銀座から2.5キロメートル、タクシーがつかまらなければ歩いて帰れる距離だ。22年秋以降、その究極の都心立地に約5600戸のマンション「HARUMI FLAG(ハルミフラッグ)」(東京・中央)が順次、完成する。東京五輪で使用される選手村を不動産大手10社が再整備する新築物件だ。

閉幕後はHARUMI FLAGとなる五輪選手村

閉幕後はHARUMI FLAGとなる五輪選手村

もともと晴海は埋め立て地。交通アクセスの悪さから住宅地としてのイメージは定着してこなかったが、22年度から新橋・虎ノ門方面向けのバス高速輸送システム(BRT)が本格的に運行を開始、問題は解消に向かう。

実はこれも典型的な「東京リボーン物件」。選手村の再生物件であると同時にBRTで虎ノ門エリアとも直結するのがポイントだ。森ビルなどが総額1兆円を投じる虎ノ門エリアでは23年までに丸ビル7本強に相当する総フロア面積51万平方メートルの超高層オフィス4棟が完成する。想定されるオフィスワーカーは5万人規模。ここと晴海が直結する。

棟数は商業棟を含め合計24棟(約5600戸)で「東京の真ん中でこれだけまとまった数の物件が発売されることはこれまでなかった」(不動産アナリストの岡本郁雄氏)。19年7月に第1期販売を開始、600戸の売り出しに対し、1500件超の申し込みがあったという。

2月に不動産経済研究所(東京・新宿)が発表した2019年の全国の新築マンション発売戸数は前年比12%減の7万660戸。1976年(4万9955戸)以来43年ぶりの低水準だった。建築費が高騰、販売価格の高止まりが続いているため、消費者が新築物件の購入に慎重になっているのは間違いない。加えて新型コロナウイルスの感染拡大で冷え込む消費が当面の購買動機に影響を与える可能性はある。

一方で住宅の購入自体が冷え込んでいるわけではない。「価格が上がったとはいえ住宅ローン金利が固定でも1%を切る状況。共働き層など、資産価値がある程度維持できるなら買った方が得と考える消費者も多い」(岡本氏)。そんななか、大規模再開発の近隣に生まれる東京リボーン物件が1つの「解」となるかもしれない。

(前野雅弥、山根昭)

▼2019年4月1日から20年3月31日までに発売、または発売予定のもの。
▼「将来価値」はマンションの快適性、将来性、購入者の満足度などが今後(5~10年後)にわたり、どの程度保たれ、価格が維持できるかの可能性がどれだけあるかを評価してのもの。
▼評価項目は以下の7つ。(1)ワークプレイス(主要ターミナル駅へのアクセス、沿線の遅延率など)(2)ライフスタイルの充実度(最寄り駅の商業施設の規模や内容、美術館や劇場、ホールの数や質など)(3)マルチ世代への適応(保育園や学校など教育施設の充実度合い、日経実力病院調査を基に推定したエリアの診療体制など)(4)オリジナリティー(駅直結型など企画の希少性、長期優良住宅の認定の有無など)(5)将来需要(日経調査による大型オフィスの供給量の多寡、人口増加率や世帯増加率など)(6)マンショの共用部(外観のデザイン性、エレベーターの設置率など)(7)マンションの専有部(二重床、防音性、採光、収納性など)

(注)格付けは上記の方法で評価した「将来価値」の目安であり、転売価格の上昇などを保証するものではありません。

不動産コンサルタント 岡本郁雄氏 三つ星の「HARUMI FLAG」は建築家やデザイナーのノウハウを集め統一感と多様性ある街づくりを進めた。空地率を50%以上確保し地域植生に配慮し持続可能な環境を育んでいる。

 二つ星の「プラウドタワー亀戸クロス」は「商」「住」「広場」「学」を一体化した複合開発。「グランツオーベル中野」は一つ星だが、居住者向けのサードプレイス「ワークラウンジ」を提案するなどユニークだ。
 新型コロナウイルスの影響は現在のところ不透明。ただ、すでにホテルの稼働率は下がり始めている。今後、沈静化までに時間がかかり企業の収益に響くようだと地価が下落する可能性もある。景気の不透明感が強まればマンション市況が一段と冷え込むことも想定される。

住宅・不動産ジャーナリスト 目黒孝一氏 二つ星の「アルビオ・ザ・タワー千代田飯田橋」はミサワホームが手がける異色の物件だ。千代田区飯田橋・富士見地域まちづくり構想エリア内の立地で最寄り駅の「飯田橋」からは徒歩3分圏内。5路線が使え利便性も高いうえ、地上24階の免震タワーである点も好評価の理由だ。

 ユニークなのは設計思想に「日本の住まい」の考え方を融合させたこと。共用部のラウンジと中庭を一緒に造り込んだ。庭と建物を一体とする発想でデザインに強いハウスメーカーならではだ。随所に緑や木材を取り入れ心地よく暮らせる住まいを演出している。
 新型コロナウイルスの影響は今のところ少ないのではないか。ただ長引けばモデルルーム閉鎖なども検討され、販売に響いてくる可能性もある。

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