日銀松本支店、景気判断2カ月連続下げ コロナ影響で

2020/3/5 19:51
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日銀松本支店は5日発表した3月の長野県の金融経済動向で、景気判断を2カ月連続で引き下げた。新型コロナウイルスが個人消費に影響を与えつつあるほか、製造業や観光・サービス業などの収益を圧迫する懸念が出ているのを反映した。米中貿易摩擦、昨年の台風19号や暖冬といったマイナス要因が相次ぐ県内経済の先行きは一段と厳しさを増しつつある。

新型コロナは観光にも深刻な影響をもたらしている(長野市の善光寺付近)

同支店は「幾分ペースを鈍化させつつも、緩やかに拡大している」として2月の景気判断を10カ月ぶりに引き下げていた。3月は個人消費に新型コロナの影響が見られるなどとして「一段とペースを鈍化させつつも、基調としては緩やかに拡大している」に表現を変更し、2カ月連続の引き下げとした。

和田健治支店長は新型コロナによる生産や企業収益へのマイナスの影響を指摘。生産面については、中国での生産活動の抑制や海外経済全体の減速による県内製造業の受注減が懸念されるほか、中国からの部品や原材料の輸入停滞による国内生産への影響などに注意する必要があるとした。

実際に製造業関係者の間では懸念の声が広がっている。

小型建機の竹内製作所は「中国の部品メーカーの生産が通常ベースまで戻っていないため、建機の主要部品の供給量が減っている」という。機械部品製造を手掛ける小松製作所(長野県松本市)の小松浩康社長は「現状では生産面への新型コロナの影響はほとんど出ていないが、サプライチェーンなどの問題から4月以降の計画が立てられない顧客企業も多い。出張自粛などで会議なども開きづらく、先行きが非常に見通しにくくなっている」と話す。

和田支店長が製造業と並んで今後の動きを注視する必要があると指摘するのが観光・サービス産業だ。これまでも台風19号の被害や暖冬による雪不足などで厳しい環境が続いてきた。新型コロナによる中国人などインバウンド(訪日外国人)の減少に加え「国内での活動自粛が旅行や飲食、サービス産業などに影響を与え始めている」と指摘する。

ながの東急百貨店の2月の売上高は前年同月を6%下回った。衣料品が落ち込む一方、食品や雑貨は堅調で、小笠原弘社長は暖冬や消費税増税の影響を踏まえると「それほど悪くなかった」と話す。

ただ、3月に入って新型コロナの影響が如実に表れ始めたという。食料品などは比較的堅調だが、衣料品売り場を中心に客足が鈍っている。小笠原社長は新型コロナの影響で「街に出ている人そのものが少なくなっており厳しい」と話す。

観光関連産業への影響も深刻だ。

県旅館ホテル組合会の中村実彦会長は「史上最悪の状態」と頭を抱える。県内の一部地域では学習旅行や団体旅行のキャンセルが計3万人泊程度出たという。「(感染リスクの高い)高齢者が旅行をしないため温泉地などの打撃は大きい」と話す。

長野市の善光寺仲見世通りなどに店舗を構える土産卸会社、タカチホの久保田一臣社長は「コロナの影響は当然出ている。松本城などの観光施設を閉じるといった現在の状況が続くと厳しくなってくる」と不安を漏らす。春の観光シーズンを前に長野県の主要産業の1つである観光・サービス業の不振は県内景気全体を下押しする大きなリスクとなりそうだ。

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