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観光客の「感動」見える化 金沢大、心拍データで

金沢大学は4月から、金沢市内で観光客の行動や生体データを取得して観光振興に生かす取り組みを始める。全地球測位システム(GPS)と心拍センサーが付いた端末で観光客の「感動」を可視化するほか、小型カメラで視覚情報を取得する。民間企業と連携し、データを活用したアプリの開発にも取り組む。年間で1000人の観光データ取得を目指す。

観光客に端末やカメラを装着してもらい、データを取得する(金沢市)

金沢大学理工研究域の藤生慎准教授が国や金沢市の補助金などを活用し、観光客のデータを取得する取り組みを始める。2015年ごろからクルーズ船で訪れた観光客に短期間で実施してきたが、20年度は金沢駅や小松空港も加えて年間を通じて実施する。

国内外の観光客に許諾を得た上で、心拍数が測れるGPS付きの小型端末と約3センチ四方の小型カメラを装着する。機器の回収率を高めるために返送用の封筒も配布する。

端末は観光後に回収し、コンピューター上で心拍数と位置情報と照らしあわせる。観光客がどこで心拍数が増えたかを分析することで「観光客の『感動』を見える化する」(藤生准教授)。移動距離と時間から速度も割り出し、走ったことによる心拍数の上昇は除外できる仕組みだ。

これまでの取り組みでは国籍ごとに異なる結果が出た。欧米系は昔ながらの街並みが残るひがし茶屋街近くの浅野川の橋の上で心拍数が上がったほか、長町武家屋敷周辺の灯籠を見て上昇したという。

一方でアジア系は兼六園の中でも特に噴水の前で心拍が上がったほか、片町や香林坊と言った繁華街での上昇が目立った。藤生准教授は「国籍によって好みが細かく違う。アジア出身の人は買い物重視で欧米から来た人は風情重視の傾向だ」と語る。

カメラで取得する視覚情報からは、アンケートでは分からない細かな情報が取得できる。例えば「欧米人はどんなすしネタを好んで食べているか」「フォークや箸をどのように使い分けているか」「料理のつゆは最後まで飲んでいるのか」など様々な傾向を細部まで把握できるようになる。

金沢では北陸新幹線の開業により観光客の数が急増した。足元では新型コロナウイルスの感染拡大などが観光の逆風となっているが、中長期的にはリピーターの獲得が欠かせない。だが、自治体や事業者で細かなデータを活用して観光客の需要に応えようとする動きはまだ少ない。

藤生准教授は収集したデータを、ヴィータテクノロジーズ(金沢市)と共同開発した観光案内アプリ、トリプリの機能向上に活用する。今後、利用者の好みに合わせて人工知能(AI)が観光スポットを提案する仕組みを開発する。(毛芝雄己)

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