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宝塚雪組、20世紀米国史描く 渋く艶ある望海風斗の歌

「ワンス アポン ア タイム イン アメリカ」 ユダヤ移民の視点から

宝塚歌劇雪組公演「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」でのヌードルス(望海風斗)(C)宝塚歌劇団

20世紀米国史をユダヤ移民の視点から描いたセルジオ・レオーネ監督の映画をもとに、宝塚歌劇のヒットメーカー小池修一郎が創作したミュージカル「ONCE UPON A TIME IN AMERICA(ワンス アポン ア タイム イン アメリカ)」が雪組により東京宝塚劇場で上演されている。ギャングに麻薬、労働争議にスト破りと、宝塚歌劇には不似合いに思えそうなものが盛り込まれた映画だが、舞台は社会の重い現実と、宝塚歌劇ならではのカタルシスをうまく共存させている。純朴な少年から、心に傷を負った大人の男まで演じ分けるトップスター、望海風斗の実力も存分に引き出されて、名作が生まれた。

1920年代、禁酒法の頃のニューヨークのローワーイーストサイドが主な舞台だ。貧しいユダヤ移民の子、ヌードルス(望海)と仲間のマックス(彩風咲奈)らによる裏社会での仕事と、女優を目指すデボラ(真彩希帆)とヌードルスとの悲しい恋が主筋となる。複雑に織り上げられた映画よりも分かりやすい。レオーネ監督の遺作から、愛の挫折や米国金融界への怒りといった主題を抽出して、華やかなショーも加えながら宝塚歌劇らしい世界に仕立てている。

宝塚歌劇雪組公演「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」より。ヌードルスを演じる望海風斗(左)とデボラの真彩希帆(C)宝塚歌劇団

さらなる長所は、トップスターの歌唱が存分に味わえることだろう。男役として大柄な方ではなく、表現も過剰ではないが、望海の歌には渋さと艶があって、大舞台で求心力がある。壮絶な孤独を天に訴える「真夜中にひとり」「ダビデの星」などの絶唱では、客席がひとつになってヌードルスに寄り添ったように感じた。

2020年秋に同時退団する望海と娘役トップ・真彩にとっては、毎回の舞台が大切な観客との一期一会だろうに、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、数日の公演中止を余儀なくされた。2月28日の公演終了後には、望海らが客席に向かって直接、悔しい思いを打ち明けた。

(瀬崎久見子)

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