一歩前進も前途多難 福島・双葉、住民の帰還意欲低調

2020/3/4 20:50
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東京電力福島第1原発が立地する福島県双葉町の避難指示が、原発事故から9年ぶりに一部で解除された。町は復興に向け一歩を踏み出したが、住民の居住が始まるのは約2年後。避難先での定住を決めた人は多く、どれほど町に戻るかは未知数だ。再建は前途多難が予想され、町は難しいかじ取りを迫られる。

帰還困難区域などが一部解除され、パトカーが巡回する福島県双葉町(4日)

4日朝、伊沢史朗町長はJR双葉駅前に開設した役場連絡所の看板を設置し「今後2年間は住みやすい町にするための準備期間」と訴えた。ただ町を訪れる住民はほとんどいない。駅から数分歩けば崩れた家が残り、真新しい駅との落差が際立つ。町職員の一人は「別の場所で家を建てた人が多く、戻る意欲を持つ住民はほとんどいない」とつぶやいた。

双葉町は事故で全域避難を強いられ、住民は福島県以外にも41都道府県で暮らしている。避難先で仕事を得た人や子育てをしている人は多い。双葉駅周辺の自宅を解体した男性(39)は「震災前のような人のつながりが強い双葉は戻ってこないだろう」と話した。

町と復興庁が昨年秋に行った住民の意向調査では、63.8%が「戻らないと決めている」と回答した。町は2022年春に特定復興再生拠点区域で人が再び住めるように水道などのインフラを整備する。だが病院や商業施設、学校の再開がいつになるのかは未定だ。

既に避難指示が一部でも解除された10市町村を見ても、解除時期が遅いほど戻る人が少ない傾向が強く、住民票を置いて実際に生活する住民の割合を示す居住率は、富岡町(避難指示解除が17年4月)は13.2%、浪江町(同17年3月)は8.6%にとどまっている。

政策研究大学院大学の家田仁教授(インフラ政策)は「避難指示が出た各自治体が、事故前の状態に戻るには限界がある。近隣の自治体同士で連携すれば復興の道筋が立てやすいのではないか」と指摘した。〔共同〕

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