新型コロナ、交通機関を直撃 高速バスの乗車8割減も

2020/3/4 20:32
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新型コロナウイルスの影響が東北の交通機関を直撃している。イベント自粛や施設の休業などを受け、2月の最終週から高速バスを中心に予約のキャンセルが急増している。特に密閉された空間に長時間乗る高速バスは乗客が8割減った路線もある。例年春休みや就職活動などで利用が増える時期だけに各社への影響は大きい。

宮城交通は1運行ごとにバス車内の手すりや肘掛けを消毒(4日、宮城県名取市)

「コロナが終息しない限り回復は難しい。2000年以降で最大の落ち込みだ」。秋田中央交通(秋田市)の幹部は嘆く。高速バスの払い戻しは2月25日~3月3日に320件に上った。9割が秋田―仙台便で会議やイベントが中止になった影響で予約のキャンセルが広がった。

東京ディズニーリゾート(TDR、千葉県浦安市)の臨時休業の影響も出ている。ジェイアールバス東北(仙台市)は東北各県とTDRを経由する高速バスを運行していたが、臨時休業を受け1日は山形や秋田発の路線で7割を超えるキャンセルがでた。2月の乗車人数も首都圏と東北を結ぶ12路線で1割減少した。

宮城交通(仙台市)は、2月末に歌手・米津玄師さんの宮城公演で貸し切りバスを運行する予定だったが、公演の中止を受け、会場である「グランディ・21」(宮城県利府町)と仙台などを結ぶ85台がキャンセルになった。長距離の夜間バスも2月28日~3月1日の利用実績は、仙台―大阪便で前年同期比8割、仙台―新宿便は同7割減った。

37台の観光バスを保有する庄内交通(山形県鶴岡市)は100以上あった予約が軒並みキャンセルになっている。もともと積雪期は観光需要が少なく、鶴岡市などが冬場に運行するスクールバスの運行受託が支えだったが、休校で仕事がなくなった。冬場は利用が増える山形市や仙台市と結ぶ高速バスも、今シーズンは少雪・暖冬で自家用車から切り替える人が少ないうえに、新型コロナによる自粛が響いている。

鉄道にも影響が広がっている。JR東日本によると、東北や秋田、山形各新幹線の2月の利用実績は前年同月から1割程度減った。2月の最終週は2割減少しており、新幹線が鉄道収益全体の9割を占める仙台支社にとっては大きな痛手だ。

津軽鉄道(青森県五所川原市)は、沿線の学校が一斉休校になったため、同社の大きな収入源である通学定期の販売が落ち込み、3月の売り上げが見通せない状況だ。同社は12~3月にストーブ列車を運行しているが、団体のキャンセルが相次いでいる。

各社とも感染予防へ運転手のマスク着用など対策を強めている。宮城交通は、一運行ごとにつり革や手すりなどをアルコール消毒しているほか、せきエチケットを呼びかけるポスターを設置。羽後交通(秋田県横手市)は路線バス、高速バスとも車両に消毒液を配備した。

ただ、今後も予約キャンセルの影響が広がりそうだ。津軽鉄道のストーブ列車は「月末まで海外からの団体がなくなった。国内からも団体キャンセルや人数の縮小が入っている」(同社)という。秋田中央交通の高速バス全体の売上高は3月は2割減の見通し。貸し切りバスは3月が8割減、4月が6割減の見込みだ。

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