米民主の指名争い長期化も 党支持層、分断の恐れ

米大統領選
2020/3/4 18:10 (2020/3/4 21:23更新)
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【ワシントン=永沢毅】米大統領選は3日、民主党候補を選ぶ序盤の天王山「スーパーチューズデー」で決着がつかず、中道派のジョー・バイデン前副大統領(77)と左派バーニー・サンダース上院議員(78)の激戦は後半戦に突入する。党を二分する指名レースは長期化する可能性もあり、結果的にトランプ大統領を利することにもなりかねない。

サンダース氏は地元バーモント州の集会で指名獲得に自信を見せた=ロイター

サンダース氏は地元バーモント州の集会で指名獲得に自信を見せた=ロイター

「今夜、私たちは指名争いに勝つ絶対の自信を持った」。サンダース氏は3日夜、地元バーモント州の集会で強調した。ただ、事前の世論調査で一時は独走が見込まれたにもかかわらず票が伸び悩み、バイデン氏の躍進を許したのは明らかだ。2016年の前回予備選でクリントン元国務長官に勝った中西部ミネソタ、南部オクラホマ両州でバイデン氏に敗北したのは象徴と言える。

理由は2つある。1つはバイデン氏がクロブシャー上院議員ら撤退した候補の支持を得て、中道・穏健派の票を結集できたことだ。ミネソタはクロブシャー氏の地元。劣勢を巻き返して勝利した南部テキサス州も、バイデン氏の支援に回ったオルーク元下院議員の地元だ。バイデン氏は3日夜、カリフォルニア州の集会で「支持をしてくれてありがたい」とクロブシャー氏らの名前を一人ひとり挙げて感謝の意を示した。

バイデン氏はカリフォルニア州での集会で撤退した穏健派候補に感謝の意を示した=AP

バイデン氏はカリフォルニア州での集会で撤退した穏健派候補に感謝の意を示した=AP

サンダース氏は左派のエリザベス・ウォーレン上院議員(70)とリベラル票を分け合ったのも響いた。ウォーレン氏の地元、東部マサチューセッツ州をバイデン氏に奪われたのが典型だ。

民主社会主義者を名乗る「異端」のサンダース氏が指名を得れば、国民皆保険などリベラル色の強い政策が穏健な支持層を遠ざけ、本選でトランプ大統領に勝てなくなる――。民主党幹部らがサンダース氏の台頭を恐れてきたのは、こんな考えがあるためだ。

サンダース氏は「エスタブリッシュメント(支配層)の不安の表れだ」として熱狂的な若者を中心に投票率が高まると反論するが、「トランプ大統領を倒せる候補」を最優先する民主党支持者は少なくない。

16年大統領選の共和党候補の指名争いでは、スーパーチューズデーで圧倒的な優位に立ったトランプ氏の指名獲得を阻止しようとする動きが共和党の主流派から沸き起こった。だが2、3位のクルーズ、ルビオ両上院議員の一本化の動きは鈍く、トランプ氏の独走を止められなかった。穏健派のバイデン氏への結集はギリギリのタイミングだった。

次のヤマは中西部ミシガンなど6州の予備選がある10日、次いで17日には南部フロリダなど4州で予備選がある。ここでどちらかの候補が抜け出さなければ、指名争いは長期化することになる。7月中旬の民主党大会までにいずれの候補も指名を得るのに必要な一般代議員3979人の過半数1991人を獲得できなかった場合、党大会での決選投票にもつれ込むシナリオもありえる。

最後に決選投票を実施したのは1952年だ。その後も決着が党大会になったケースがあるが、党内の調整などで決選投票は回避している。決選投票になった場合、党幹部らと太いパイプがあるバイデン氏に有利になる可能性がある。

だが最終的にバイデン氏が指名を得れば、熱狂的なサンダース氏の支持者は本選で投票に行かないとの見方も多い。「(党主流派らが)バイデン氏に肩入れするような動きになれば、左派と穏健派の亀裂は埋めがたくなり、結束しにくくなる」(元サンダース選対幹部のマーク・ロングバウ氏)。指名争いが長引くほど、クリントン氏がトランプ氏に敗北した16年大統領選の二の舞いになるとの懸念は強い。

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