激戦終えたバイデン氏ら スーパーチューズデー集会ルポ

米大統領選
2020/3/4 18:09
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米大統領選の民主党候補を選ぶ予備選・党員集会の集中日「スーパーチューズデー」で3日、中道派のジョー・バイデン前副大統領(77)と左派のバーニー・サンダース上院議員(78)、マイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長(78)は、投票終了後にそれぞれ集会を開き、支持者に謝意を表した。接戦を演じたバイデン氏とサンダース氏、伸び悩んだブルームバーグ氏の表情を現地で追った。

勝利宣言するバイデン氏(3日、ロサンゼルス)=ロイター

勝利宣言するバイデン氏(3日、ロサンゼルス)=ロイター

【ロサンゼルス=佐藤浩実】バイデン氏が現れたのは、屋外のバスケットコートにこしらえた簡素なステージだった。現地時間3日午後7時20分、自信に満ちあふれた表情で登壇すると、支援者集会の会場は大歓声に包まれた。逆風が伝えられていた数日前までから一変。バイデン氏は勝利が確定した州の名前を一つひとつ挙げると、300人強の聴衆に向かって「我々は生きている!」と笑顔で叫んだ。

「ジョーには経験と、この国を統べる知見がある」。近隣に暮らすゲリー・パークさん(28)はバイデン氏を応援する理由を話す。集会の参加者が口々に語ったのが、オバマ政権時代に副大統領を務めた経験に対する信頼感だ。「サンダース氏の政策は納税者への負担が大きすぎるし、ブルームバーグ氏の思想は共和党だ」(マーシャ・ターナーさん、64)と、他の候補にはないバランス感覚を評価する声も目立った。

オバマ前大統領のポスターを掲げるバイデン支持者=ロイター

オバマ前大統領のポスターを掲げるバイデン支持者=ロイター

一方で、ピート・ブティジェッジ前サウスベンド市長ら中道派の撤退がバイデン氏の支持者層を広げたのも事実だ。LGBTQ(性的少数者)のジェフ・デービスさん(42)は「バイデン氏支持はセカンドチョイスだった」と明かす。

デービスさんは同性愛者を公言するブティジェッジ氏を長らく応援していたが、同氏が2日にバイデン氏支持を掲げたため追随したという。バイデン氏自身も3日の集会で、ブティジェッジ氏やエイミー・クロブシャー上院議員らへの感謝を述べた。

バイデン氏は15分ほどで演説を終えると、カリフォルニア州の投票が終わる午後8時を待たずに集会場を後にした。同州はサンダース氏の勝利。集会の冒頭で口にした「とても良い夜だ」という気分を崩されたくなかったようだ。

サンダース陣営のオフィスからは支援者らがプラカードを持って現れた(3日、米バーモント州バーリントン)

サンダース陣営のオフィスからは支援者らがプラカードを持って現れた(3日、米バーモント州バーリントン)

【バーリントン(バーモント州)=大島有美子】サンダース氏は3日、地元のバーモント州バーリントン市郊外でスーパーチューズデーの集会に臨んだ。午後7時半から始まった集会には、主催者によると3600人が集まった。

サンダース氏が会場に姿を見せたのは午後10時過ぎ。4年前は制したコロラド州やミネソタ州でバイデン氏に敗れ、会場に若干の落胆が見えていた。サンダース氏が「指名争いを制する絶対の自信がある」と述べると、支持者は勢いを取り戻した。投票を締め切る前のカリフォルニア州の動向を「慎重かつ楽観的に見ている」として期待を持たせた。「企業のみならず、政治の既得権益とも戦う」と述べ、支持層に訴えかけた。

集票速報に沸き立つサンダース氏の支持者ら(3日、米バーモント州バーリントン)

集票速報に沸き立つサンダース氏の支持者ら(3日、米バーモント州バーリントン)

「1、2、3、バーニー」。支援会場では開始2時間前から支援者が集まり、写真を撮っていた。「富裕層や会社のためでなく、普通の人のために政治をするから好き」。食品会社に勤務するシアンさん(25)は話す。金融業に務めるトラウト・ローリーさん(22)「トランプに勝つために重要なのは人を鼓舞する力だ。バーニーにはそれがある」という。

サンダース氏は1981年から8年間、バーリントン市長を務めた。中心街に構えるサンダース氏陣営のオフィスからは3日午後、プラカードを持った支援者が続々と現れた。市内の投票所の前でも支援者がサンダース氏への投票を呼びかけていた。

市長時代のサンダース氏を覚えている市民も多い。ジーナ・バタリさん(54)もその一人。サンダース氏が地元の公園を再建した話に触れ「企業からは感謝されない、市民のための施策だった」と振り返る。35年間サンダース氏を支持しているラルフさん(69)は「彼の主張はずっと変わらない」と話す。2016年時の選挙活動のTシャツを着て集会に参加し、自身も支持し続けていることを強調した。

入場を待つサンダース支持者ら(3日、米バーモント州バーリントン)

入場を待つサンダース支持者ら(3日、米バーモント州バーリントン)

「エリザベス・ウォーレンが撤退してくれていたら。もう既に遅いけれど」。集会に参加したジーナさんの娘、アリー・バタリさん(28)はため息をつく。ブティジェッジ前インディアナ州サウスベンド市長などの穏健派の票を集めたバイデン氏と比べ、サンダース氏と政策が似ているウォーレン氏と票を奪い合い、結果的にバイデン氏のリードを許したことを悔しがる。

クリエーターのブリー・デラ・ロッカさん(40)は、州知事や党の有識者などいわゆるスーパー代議員の存在を懸念する。指名争いが長引いた場合「(スーパー代議員の支持が多いとされる)バイデン氏に有利に働き、民意を反映しない結果になる」と指摘する。

「私の祖母の情報源はテレビだけ。ブルームバーグに投票するそうよ」とロッカさん。ブルームバーグ氏のテレビCM戦略は一定の効果があるようだ。ブルームバーグ氏はバーリントン市内にも「VT(バーモント)Mike」と掲げた選挙事務所を設け、サンダース氏のお膝元でも活動していた。

集会に参加したブルームバーグ氏(3日、フロリダ州パームビーチ)=ロイター

集会に参加したブルームバーグ氏(3日、フロリダ州パームビーチ)=ロイター

【パームビーチ(フロリダ州)=中山修志】スーパーチューズデーから本格参戦したブルームバーグ氏は、予備選が行われた14州ではなく、トランプ米大統領が別荘を構えるフロリダ州パームビーチに陣取った。支持者集会の会場前にはトランプ支持の地元バイクのチームのメンバーら約50人が集まり「アメリカはトランプ大統領の国だ」と声を上げる場面もあった。

午後8時30分ごろ支持者の前に登壇したブルームバーグ氏は「私はフロリダにゴルフをしに来たのではない。大統領になるために来た」と切り出し笑いを誘った。銃規制や気候変動対策、教育支援などの政策を並べ「2016年選挙で民主党はフロリダで敗れた。11月の選挙で勝利しドナルド・トランプを永久にマー・ア・ラゴ(トランプ氏のパームビーチの別荘)に追いやる」と宣言した。

ブルームバーグ氏の支持者(3日、フロリダ州パームビーチ)=ロイター

ブルームバーグ氏の支持者(3日、フロリダ州パームビーチ)=ロイター

ただ、スーパーチューズデーで目立った戦果が上がらなかったこともありブルームバーグ氏の演説はやや盛り上がりを欠いた。米領サモアの勝利速報と重なった前タンパ市長の応援演説の方が歓声が大きかったほどだ。会場にサルサ音楽を流してラテンのムードを演出したが、フロリダの選挙結果を左右するとされる黒人やヒスパニック系の参加者は少なく、およそ9割が白人だった。

元弁護士のビル・モリスさん(78)は「ブルームバーグは献身的で高い資質がある。トランプに勝てるとすればバイデンではなく彼だ」と強調した。予備選は期日前投票でブルームバーグ氏に投票したという。黒人女性のシャーリー・グリーンさん(71)は「人柄と実行力を支持している。アメリカを以前の誠実な国に戻さなければいけない」と語った。

家族で集会に参加した高校1年生のレイヤ・アルバートさん(15)は「大統領選は授業でもテーマになっている。銃を厳しく規制するという考えに共感している」と話した。父親のブライアンさん(45)も「銃規制や気候変動対策の重要性に加え、ニューヨーク市長としての彼の実績を信頼している」と期待を寄せた。

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