ファンケルが新工場公開 訪日客向け化粧品3割増産へ

ファンケルは4日、30億円を投じ千葉県流山市に建設した新工場を稼働し報道陣に公開した。新工場では主力商品の化粧落とし「マイルドクレンジングオイル」を3割増産する。直近は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けるが、中長期的に高まるインバウンド(訪日外国人)需要に対応する。工場新設は同グループで20年ぶりとなる。

流山の新たなマイルドクレンジングオイル専用工場は、広さ1861平方メートルの敷地に3階建てで設けた。既存の3つの工場で生産していたのを新工場に集約する。生産本数は従来より3割多い計1200万本に増やす。生産ラインを増設すると最大2400万本まで引き上げられる。
島田和幸社長は「マイルドクレンジングオイルは販路拡大や訪日需要などが後押しし好調。販売量を伸ばすために生産を高めた」と話す。化粧品工場は多品種少量生産が一般的で、単一商品の専用工場は珍しいという。
新工場では梱包工程を自動化し、これまで35人だった作業要員を8人まで減らした。従来の多品種生産では商品ごとに形が異なるため機械を使った自動化が難しかった。1つの商品の専用工場にしたことにより、生産の効率化を実現した。
足元では新型コロナウイルスの影響で訪日客需要が減少しているが、島田社長は「影響は一過性。必ず(需要は)戻ってくる」として増産体制を整えた。同商品は発売当初は通販のみでの販売だったが、13年にドラッグストアに販路を拡大。16年ごろからは中国人を中心とした訪日客需要で売り上げを伸ばしてきた。