満身創意(岡崎慎司)

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チームプレーかエゴか、FWで問い続ける

2020/3/4 17:00
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2月8日、アウェーのジローナ戦。僕は54分から出場していた。退場者を出したウエスカは劣勢ではあったが、スコアは0-0だった。

前線で相手ボールを奪った僕は、すぐさま横にいた味方にボールを預ける。そして、リターンパスを受けられるように動き出した。しかし、パスが戻ってくることはなかった。「戻ってくるわけないよな。どうしてそのままボールを持って仕掛けなかったのか」と自分を責めた。

サッカーの試合ではセーフティーに戦うことも大事だ。ボールを簡単に失い、逆襲に遭うリスクを考えるなら。だから、パスを選んだ僕を間違っていないという考え方もあるだろう。しかし、チームは1人少ない状況だからこそ、単独でも何とかしてくれるストライカーを待っていたと思う。結局、試合は追加タイムに失点して敗れた。

ラヨ・バリェカノ戦の後半、攻め込む岡崎(2月23日)=共同

ラヨ・バリェカノ戦の後半、攻め込む岡崎(2月23日)=共同

ウエスカでは、レスター時代のようなトップ下や中盤ではなく、FWとしてプレーできている。それは周りと連係して崩すだけではなく、独力で局面の打開に挑戦ができる立場だ。なのに、その権利をフルに行使できてはいなかった。何の疑いもなく横パスを出した僕は、練習でも同様だったことを激しく悔いた。

先発出場の機会が減った状況を考えれば、もっと自分だけにフォーカスしたプレーを選択してもよかった。練習から仕掛ける姿勢を見せていれば、周囲の見る目も変わる。ボールを失ったときのチームメートの落胆交じりのため息も減らせるはずだ。

実は僕は、この仲間のため息というやつがどうも苦手なのだ。それを避けるために安全なプレーを選ぶことがあるくらい。ところが、こちら(欧州)の選手ときたら、ため息どころか、どんなに罵声を浴びても動揺を見せない。挑戦の先にある成功を強く確信しているというか、失敗してもチャレンジを続ける。

「どうして自分で仕掛けて何度もボールを失う? チームのチャンスをつぶす?」

彼らのプレーにこういう疑問を抱くこともある。が、彼らの多くは、やがて想像をはるかに超えたプレーで僕の疑問を打ち消すのだった。

「チームプレー」か「エゴイスト」か。ストライカーのあるべき姿の問答が、僕の中で常に繰り返されている。エゴイストになりきるほどの個の力が僕にはない。だから周りとの連係は必要だ。そこを忘れたわけではない。

あるときを境に急に試合に出られなくなる。「どうして?」という疑問を解決できるのは自分しかない。そのたびに何かに挑戦しては失敗と成功を繰り返す。プロ生活とはそんな営為の積み重ねなのだと思う。そうやって僕はスペインにたどり着いた。自分が何かを起こさなくてはいけないFWという仕事に今は楽しさを感じている。

(ウエスカ所属)

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