大阪のライブ参加者把握難航 90人超の連絡先不明

大阪
2020/3/4 11:52
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大阪市都島区のライブハウス「Arc」(2月29日)=共同

大阪市都島区のライブハウス「Arc」(2月29日)=共同

2月中旬に大阪市内のライブハウスを訪れた人で新型コロナウイルスへの感染が判明するケースが相次ぎ、大阪府・市が焦りを募らせている。府・市は小規模な感染者集団「クラスター」が発生したとみてさらなる拡大を懸念。既にライブ参加者の知人や家族への感染も明らかになっているが、連絡先の分からない参加者が多く健康状態の確認は難航している。

「明らかにクラスターが生まれていると思う。別のクラスターを生まないためにも、ライブハウスへの訪問者は自宅近くの保健所に連絡してほしい」。吉村洋文知事は3日夜の記者会見で苦渋の表情を浮かべた。

感染が相次いで判明したのは大阪市都島区のライブハウス「Arc」で2月15~16日に行われたコンサートの参加者。高知県の30代女性看護師や大阪府の40代男性ら計8人の感染が3日までに確認された。

ライブハウス側は前売りチケットの購入者名簿を府に提供。両日の参加者のうち連絡先が分かった47人について、大阪市保健所が2日以降、順次連絡している。発熱やせきが出ないかなどを確認し、症状がない場合も2週間は毎日電話。異変があれば保健所や専門の医療機関を受診するよう要請する。

吉村氏は3日、2月15~16日にライブハウスを訪れた人は症状にかかわらず全員を検査対象とする方針を明らかにした。ただ、小規模なコンサートは当日券で入場するケースも多く、参加者の捕捉が難しい。15日の参加者はスタッフを含め約150人で、このうち90人は連絡先が分からない。16日に至っては参加者数すら判明していない。

大阪府は国立感染症研究所などの専門家でつくる「クラスター対策班」に協力を要請。2日から大阪市保健所に派遣された専門家が指揮を執り、ライブ参加者や接触者の情報を全国の保健所と連携して調べている。府・市も所在の分からない参加者について、連絡のつく参加者から情報を聞くなどしているが、参加者の把握は難航。府の担当者は「自ら保健所に名乗り出てもらうしかない」と悩む。

ライブ参加者の知人や家族の感染も相次いで判明しており、府幹部はさらなる拡大に危機感を強めている。3日に感染が確認された府内在住の40代女性保育士は、2月26~28日に大阪市内の大規模認可保育所に出勤しており、府は100人以上の園児や職員の健康観察を実施する構えだ。

■各地にクラスター? 「密室避けて」


 感染者の集団「クラスター」は各地で発生しているとみられる。
3日までに79人の感染が確認された北海道。国内外から200万人が訪れた「さっぽろ雪まつり」(札幌市)が2月11日に閉幕した後に感染者の確認が相次いだ(「雪まつり後に発症者急増 北海道、新型コロナ拡大」参照)。会場周辺のテントやプレハブ小屋などの空間で感染した可能性がある。同月13~15日に北見市で開催された展示会でも複数の感染が確認された。
 タクシー運転手ら約70人が参加した東京都の屋形船では11人が感染。大半の窓を閉めたまま2時間半ほど会が行われたという。千葉県市川市のフィットネスクラブでは3日までに利用者4人の感染が判明し、名古屋市のスポーツジムでも複数の感染者が出た。
 厚生労働省の分析では感染者の8割は周囲に感染させていないとみられ、クラスターを封じ込められれば急激な感染拡大は防げるとみる。
 専門家会議は若年層の行動が重要と強調する。10~30代は重症化リスクが低い半面、感染に気づかないうちに他の地域に移動して、高齢者に感染させてしまう恐れがあるという。地域医療機能推進機構の尾身茂理事長は若年層に対し「風通しが悪く、人が密集する場所を避けることで多くの人の感染を防げる」と指摘する。専門家会議は避けるべき場所としてライブハウスやカラオケボックス、自宅での飲み会などを例示している。

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