消える仮設・土地かさ上げ…「定点」で見る震災9年
東日本大震災後、住まいを失った被災者のために各地で仮設住宅が整備された。プレハブ型の応急仮設住宅は7県で約5万3千戸、民間賃貸などのみなし仮設住宅は46都道府県に約8万戸設けられた。2012年4月時点での入居戸数は計12万3723件で、約32万人が暮らした。
球場に団地、広場で餅つき…仮設の風景







自治体は震災後、災害公営住宅の整備を開始したが、岩手や宮城、福島県では用地の不足などが課題となり、着工が遅れた。その後全国で19年12月末までに2万9千戸以上の災害公営住宅が整備された。

並行して住民らによる自力での自宅再建も進み、多くが仮設住宅から退去した。20年2月末時点での仮設住宅の入居者数は5884人となっている。
各県は原則として、今年3月末までの退去を求める。災害公営住宅の整備などが進んだことを理由としている。
一歩一歩 定点写真で見る復興
東日本大震災の発生から9年がたち、被災地の風景は大きく変わった。壊滅的な被害に見舞われた、岩手県大槌町と陸前高田市、宮城県気仙沼市と南三陸町、福島県新地町、そして東京電力福島第1原子力発電所――。震災直後から変わらぬ場所に立ち、一歩一歩進む復興の場面を追いかけてきた。
大槌

震災による津波が町の中心部などを襲った岩手県大槌町。被災した2階建て庁舎を保存するか、解体するか。町民を二分する議論が続いたが、裁判を経て、解体が決まった。










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陸前高田

ぽつり、ぽつりと残った建物の周りに大量の津波がれきが押し寄せ、風景が一変した岩手県陸前高田市。復興工事で街全体のかさ上げが進み、沿岸にも建物が並び始めた。










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気仙沼

大きな漁船が市街地まで流された宮城県気仙沼市。赤い船底が印象に残る「第18共徳丸」は、震災の2年半後に解体された。街は再整備が進み、今は災害公営住宅が立ち並ぶ。










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南三陸

震災の津波で職員ら43人が犠牲になった宮城県南三陸町の防災対策庁舎。骨組みだけになった庁舎を取り囲むように、土地のかさ上げが工事が進んだ。










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新地

沿岸を走るJR常磐線の列車や線路が押しつぶされた福島県新地町。16年12月に不通区間がようやく開通し、新地駅前の再開発でホテルや温浴施設が開業した。










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福島第1原発

震災後に水素爆発を起こした東京電力福島第1原発。汚染水をためるタンクは増え続け、漏洩事故も起きた。県内の汚染土は、中間貯蔵に運び込まれている。









