FRB、早期追加利下げも 株安で月内に再緩和観測

2020/3/4 11:30
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【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)は3日に緊急利下げに踏み切ったが、早期に追加緩和を決断する可能性がある。パウエル議長は「先行きの動向を注視し、政策ツールを用いて適切に行動する」と表明。景気不安が拭えなければ、もう一段の利下げも辞さない構えだ。市場では株安が止まらず、2週間後の17~18日の定例会合で追加緩和するとの観測も浮上してきた。

米東部時間3日の午前7時。パウエル氏は主要7カ国(G7)の緊急電話会議に参加し、その後にすぐさま臨時の米連邦公開市場委員会(FOMC)を開いて、0.5%という大幅な利下げを決めた。臨時会合で利下げするのは、金融危機直後の2008年10月以来。新型コロナウイルスによる景気不安に対処するため、11年半ぶりという異例の緊急措置を繰り出してみせた。

米国では現時点で景気指標の大きな落ち込みはみられないが、ダウ工業株30種平均が先週1週間で3500ドル強も下落するなど景況感の悪化が目立つ。記者会見したパウエル氏は「利下げに感染拡大を止める効果がないことはわかっている。それでも企業や消費者の心理を高めることはできる」と緊急利下げの意義を強調した。

ただ、3日の株式市場ではダウ平均が前日比785ドルも下落し、投資家心理の劇的な改善にはつながらなかった。市場参加者はFRBが3月中に0.5%の利下げに踏み切ると予測しており、臨時会合も大きなサプライズとはならずじまい。新型コロナに終息の兆しが出なければ、世界的なサプライチェーン(供給網)の混乱や旅客需要の落ち込みを利下げだけで反転させることも難しい。

FRBの利下げの打ち止めは遠そうだ。米ゴールドマン・サックスは1~3月期の世界経済がマイナス成長に転落すると分析。米金融政策も2週間後の17~18日の会合で0.25%の利下げを決め、さらに4月末の会合でも追加緩和すると予測する。トランプ米大統領は3日の演説で「FRBはやっと利下げを決めた。それでも政策金利はまだまだ高い」と追加利下げを露骨に要求した。

緊急利下げでも株安は止まらず、早期の追加緩和も視野に入ってきた(3日の記者会見)=ロイター

緊急利下げでも株安は止まらず、早期の追加緩和も視野に入ってきた(3日の記者会見)=ロイター

「G7は景気を支えるために協調すると明確にした。今後さらに各国が協調政策を講じる可能性がある」。パウエル氏は日本や欧州への政策期待も隠さなかった。為替相場を大きく動かしかねないだけに、FRBが日欧などほかの国・地域の政策に言及するのは極めてまれだ。にもかかわらず協調行動を暗に呼びかけたのは、FRB単独では世界的な景気・金融不安に対処できないためだ。

もっとも、米政策金利は1%強まで下がり、緩和局面が長引けばゼロ金利に近づくのは避けられない。FRBは19年10月から、短期金融市場を安定させるため、短期国債を月600億ドル買い入れる臨時措置を講じている。今年7月以降に打ち切る考えを示唆してきたが、市場の混乱が続けば延長が視野に入る。

市場の一部は短期債の買い入れを「事実上の量的緩和第4弾」と受け止めてきた。購入対象を短期債から長期債に切り替えれば、金融危機後の量的緩和とほぼ同じ仕組みになる。パウエル議長は3日の記者会見で「今回は利下げ以外のツールは話し合っていない」と明かしたが、ゼロ金利後を見据えた議論も急ぐ必要が出てきた。

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