NYダウ、利下げでも785ドル安 米長期金利は1%割れ

2020/3/4 6:08 (2020/3/4 6:51更新)
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【ニューヨーク=後藤達也】3日の米国株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比785ドル91セント(2.94%)安の2万5917ドル41セントで終えた。米債券市場では同日、長期金利の指標である10年物国債の利回りが心理的な節目である1%を初めて下回った。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、米連邦準備理事会(FRB)は緊急利下げを決めたが、投資家は逆にリスク回避姿勢を強めている。

緊急利下げが市場心理を支えたのはごく短時間だった。利下げが発表となった午前10時すぎにはダウ平均が300ドル以上上昇する場面があったが午後には息切れし、一時は997ドル安まで値下がりした。マイクロソフトやエクソンモービルなど主力株が5%近く下落。新型コロナウイルスの感染拡大による経済への打撃は利下げだけでは防げないとの不安が広がっている。

一方、安全資産である米国債への資金流入が急ピッチで進んだ。10年債利回りは一時0.90%と前日より0.26%も低下(価格は上昇)。史上最低を更新するとともに節目の1%をあっさり割り込んだ。円相場は1ドル=107円ちょうど近辺まで上昇し、金も買われた。

FRBは先週末に利下げを示唆していたが、定例会合前の緊急利下げを予想する声は少なかった。パウエル議長は「新型コロナによって経済活動にリスクが持ち上がり、金融市場にも混乱をもたらした」と理由を説明。政策金利を従来の1.50~1.75%から1.00~1.25%に変更。利下げ幅は0.50%と通常の2倍に広げた。経済情勢次第で追加の利下げも検討する構えをみせた。

ただ、市場では「利下げは景気回復にはあまり役立たない」(米投資助言会社A・ゲーリー・シリング)との見方が広がっている。FRBの政策金利は年内には0%台半ばに下がることを市場はすでに見越している。FRBはマイナス金利政策の採用には消極的で、事実上の下限である0%が迫っている。利下げで景気や市場心理をさらに支える余地はほとんどない。

長期金利の低下が企業に好影響を与えづらくなっている面もある。3日は国債利回りが急低下したが、格付けが低い米企業の社債の金利は逆に上昇(価格は下落)した。景気悪化で企業の倒産が増えるリスクが意識されたためだ。上場投資信託(ETF)などを経由して低格付け債へと向かっていたマネーが一気に逃げ出しており、企業収益に逆風となりかねない。

市場心理が改善するかは新型コロナが収束するかどうかにかかっている面が大きい。中国では新たな感染者数が減っているが、韓国で急増しているほか、地理的な広がりもみせている。金融政策に手詰まり感が強まってきたことで、「財政出動が必要だが、適切に対応できないおそれもある」(米調査会社MFRのジョシュア・シャピロ氏)との指摘も増えている。

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