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和牛子牛5%安 6カ月連続下落 肉の相場安が波及

黒毛和牛の子牛価格が下落している。1月は前年比で5%程安くなった。前年割れは6カ月連続だ。和牛の肉相場が値下がりしていることで牛を育てる農家の収入が減り、新たな子牛を買う意欲が低い。直近では新型コロナウイルスによる訪日客の減少で肉相場安が加速。子牛価格にも下押し圧力がかかるという悪循環に陥っている。

子牛は昨年春から値下がりし始めた

農畜産業振興機構(東京・港)によると、1月の黒毛和種の子牛平均価格は1頭73万7千円と前年同月と比べて5%安い。2019年度の平均も75万8千円と18年度より0.6%安くなっている。ただ、5年前と比べると3割ほど高く「依然として高値圏にある」(市場関係者)という指摘もある。

肉牛の生産では、母牛に子牛を生ませて市場に出荷する繁殖農家と、市場で子牛を購入し大きくなるまで育てて肉として出荷する肥育農家に分かれる。

黒毛和牛は枝肉相場の高値が19年の春ごろまで続いたことで国内の消費が鈍っている。不調な消費を映し、1月(東京市場、A4去勢)は前年同月比8.1%安くなった。7カ月連続の前年割れで、子牛を育てている肥育農家の収入は減少している。

「採算割れしない牛を慎重に選ばなければ」。ある肥育農家はため息をつく。枝肉相場の値下がりによって採算が悪化し、子牛を選ぶ目が厳しくなっている。市場関係者も「血統が良く、最高ランクのA5に育つ確率が高い子牛は高値がついている。一方、体重があまり増えなそうな子牛は値崩れしている」と話す。

肥育農家の購買意欲は鈍いが、子牛の供給は増加傾向だ。19年下半期の黒毛和種の取引頭数は15万5千頭と前年同期と比べて0.7%増えた。

近年の子牛相場の高値で繁殖農家では子牛の増産機運が高まっていた。それに加え、技術の進歩で乳用牛に和牛の受精卵を移植することも増えている。

感染が広がる新型コロナウイルスが子牛相場に与える影響も大きい。国内の和牛消費を支えていた訪日客が大きく減った。他にも外食を控える動きが出ている。需要減退を受け、和牛の肉相場は下落が続く。それにつられて和牛の子牛相場も値下がりした。2月途中までのデータでは子牛価格は19年2月と比べて7.4%安い。

農家からは「早く新型コロナウイルスが終息してほしい。この状況が数カ月続くと資金繰りが厳しくなる」と切実な声が聞こえる。

子牛の増産傾向はしばらく歯止めがかからない見込みで、関係者の間では「子牛相場が上昇する要素は少ない」といった見方が強い。子牛や肉相場の下落が長引けば、高齢化が深刻な農家の減少に拍車をかける可能性もある。

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