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過去の五輪に学ぶ 新型コロナとスポーツの関係
ドーム社長 安田秀一

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2020/3/7 5:30
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歴史をひもといても、今回2度目のオリンピックを迎える東京ですが、実際には40年にも東京でオリンピックが開催される予定でした。駒沢公園の正式名称が「都立駒沢オリンピック公園」となっているのはそれが理由です。実現していれば欧米以外の国で最初に行われる大会だったのですが、37年からの日中戦争の影響により、大会自体を「返上」しました。

「幻の東京五輪」の主会場となるはずだった駒沢公園(東京都世田谷区)

「幻の東京五輪」の主会場となるはずだった駒沢公園(東京都世田谷区)

オリンピック自体が惨劇の舞台になってしまった事件もありました。72年のミュンヘン五輪です。パレスチナのテロリストが選手村のイスラエル選手団宿舎を襲撃し、選手やコーチ合わせて11人が犠牲となってしまいました。この事件についてはスティーブン・スピルバーグ氏が監督した映画「ミュンヘン」にその詳細が描かれています。正視することすら厳しい描写の連続ですが、人類が平和を手に入れることの難しさを実感させられます。

などなど……ネガティブなことばかりを書くことになってしまいましたが、意図はその反対です。

■「困難を乗り越えてきた」という実績

上記の事例は、我々は「これほどまでにたくさんの困難を乗り越えてきた」ということを物語っていると、僕自身学ばせてもらっています。誰にでもある先の見えない不安、これを少しでも解消するのは何よりも「誰もが乗り越えてきた」という実績だと、僕はそう思っています。

ウイルスの恐怖という過酷な環境の中、オリンピック代表選考会が実施され、代表選手がどんどん選ばれています。選手たちの努力を考えれば、選ばれずに悔し涙を流すシーンにもらい泣きすることばかりだと思います。

でも、過去にはオリンピックそのものがなくなったり、国家として参加しなかったり、より過酷な状況を受け止めてきた若いアスリートが何人もいたこと、そんな姿を僕は思い浮かべます。

それでも、地球は回っていて、明日にはまた新しい日が昇ります。

スポーツも政治も疫病も戦争も……すべては今ここにある現実です。

スポーツが教えてくれること。それは、必ずしも努力が報われないこと、自分の力ではどうしようもならないことがあること、敗北を受け入れること……そして何より、「立ち直る勇気」だと僕は思っています。

過去の先輩たちが乗り越えてきたように、我々もあらゆる事態を想定し、受け入れる準備を整え、そして「立ち直る勇気」を身に付けていこう。

スポーツの持つ本当の力を信じて。

安田秀一

1969年東京都生まれ。92年法政大文学部卒、三菱商事に入社。96年同社を退社し、ドーム創業。98年に米アンダーアーマーと日本の総代理店契約を結んだ。現在は同社代表取締役。アメリカンフットボールは法政二高時代から始め、キャプテンとして同校を全国ベスト8に導く。大学ではアメフト部主将として常勝の日大に勝利し、大学全日本選抜チームの主将に就く。2016年から18年春まで法政大アメフト部の監督(後に総監督)として同部の改革を指揮した。18年春までスポーツ庁の「日本版NCAA創設に向けた学産官連携協議会」の委員を務めたほか、筑波大の客員教授として同大の運動部改革にも携わる。

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