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米製造業の回復、新型コロナが冷や水 供給網寸断などで

【ニューヨーク=大島有美子】過去最長の景気拡大を続ける米経済に、新型コロナウイルスの感染拡大が影を落とし始めた。米サプライマネジメント協会(ISM)によると、2月の製造業景況指数は前月比0.8ポイント低い50.1に下がった。好不況の境目となる50はわずかに上回ったが、足元では企業が相次ぎ1~3月期の業績予想の未達を公表。米中貿易戦争のリスク後退で回復の兆しを見せていた製造業の景況感に冷や水を浴びせている。

「1月は好調だったが、新型コロナで新規受注が減った」(化学品会社)、「中国からの供給寸断が生産に深刻な遅れをもたらしている」(食料品会社)。ISMの調査対象企業からは新型コロナの影響を憂慮する声が相次いだ。個別項目で見ると、新規受注が前月比2.2ポイント、生産が4ポイントとそれぞれ大きく下落した。

中国からの部品供給の遅れが米製造業に影響を及ぼしている(米マサチューセッツ州のハンド・ドライヤー工場)=ロイター

米国の製造業は1月の米中貿易協議の第1段階合意にともない、回復の兆しを見せていた。1月の景況指数は製造業、非製造ともに上向き、製造業は半年ぶりに50超となり「不況」水準から脱していた。だが、新型コロナが新たなリスクとしてのしかかる。IHSマークイットの2月の米総合購買担当者景気指数(PMI)も、6年4カ月ぶりの低水準となった。新規受注や輸出の落ち込みが指数低下の主因だ。

先行き不安から市場は悲観論に傾く。S&P500の構成銘柄を業種別に見ると、前週の週間下落率が大きかったのはエネルギー(15%)や素材(13%)で、アジアや欧州など米国外の経済減速が業績に響く業種が売りを浴びた。

企業も相次ぎ業績を下方修正している。ゴールドマン・サックスによると、2月20日までに米S&P500種総合株価指数の構成企業のうち、2019年10~12月期決算で143社が新型コロナに言及した。米アップルやマイクロソフトが部品のサプライチェーン(供給網)の寸断により、一部事業を含む1~3月期の業績予想の未達を公表した。

影響は幅広い業種に及ぶ。化学分析機器大手のアジレント・テクノロジーは「中国からの機械がなかなか届かず、新規の設備購入が遅れそうだ」としている。食肉大手のタイソン・フーズは「港湾の活動停止で、輸送が遅れている」と物流の寸断による悪影響を指摘した。

今後の米景気の先行きを占う上で、個人消費の下支えが焦点となる。消費の指標はまだ底堅さを維持している。2月28日に公表された2月のミシガン大学の消費者信頼感指数(改定値)は101と、18年3月以来の高水準だった。

ただ、消費者の景況感は「株式市場の動きが大きく影響を及ぼす」(JPモルガン・チェースのダニエル・シルバー氏)。2月の指数には27日以降の米株急落は織り込まれておらず、シルバー氏は「今後の指数は悪化するだろう」とみる。

米百貨店大手メーシーズのジェフ・ジェネット最高経営責任者(CEO)は25日の決算発表の際に、アジアからの旅行客減などで「一部の店で2月はいくらか売り上げが減っている」と述べた。

モルガン・スタンレーが28日に公表した米経済見通しによると、3月までに中国での経済活動が正常化すれば影響は軽微だが、6月まで収束時期が延びれば米国内の観光や消費にも影響が出て、米国の1~3月期、4~6月期の経済成長率を0.7~0.8ポイント押し下げるとした。

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