「D・キーンとは何者であったのか」一周忌に探る

2020/3/9 2:00
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「黄犬忌」で公開対談する平野氏(左)とキャンベル氏(東京都新宿区の紀伊国屋ホール)

「黄犬忌」で公開対談する平野氏(左)とキャンベル氏(東京都新宿区の紀伊国屋ホール)

日本文学研究者のドナルド・キーン氏が96歳で亡くなって1年となる2月24日、故人をしのぶ「黄犬(キーン)忌」が東京都内で開かれた。まず養子のキーン誠己氏があいさつし「父は晩年まで集中力・持続力を失わなかった。夜遅くまで研究に取り組んでいたので『無理をしないでください』と声をかけたら『私は無理が大好きです』と笑っていた」と語った。

続いて作家の平野啓一郎氏と日本文学研究者で国文学研究資料館長のロバート・キャンベル氏が「ドナルド・キーンとは何者であったのか」をテーマに対談。「キーンさんと交友のあった三島由紀夫、谷崎潤一郎らの作品を僕が学生の頃から愛読していたこともあってか、親しくなって、いろいろな話をさせていただいた。(53歳離れているが)『友達になりましょう』と握手の手を出してくれたことに感動した」と平野氏は振り返った。

一方、キャンベル氏は「研究者として距離を置いてきた結果、知り合えたのは(キーン氏が)晩年になってから。ユーモアに満ち、皮肉めいたジョークを飛ばす方だった。同じニューヨーク出身なので(早く知り合っていたら)赤信号で止まったときには1分半ぐらいジョークを言い合える仲になれたと思うが」と惜しんだ。

今後の研究課題も見えてきた。「同じ著作でも英語版とそれを翻訳した日本語版では、削除したり、追加したりという違いがある」とキャンベル氏。平野氏は「日本文学が海外でどう受け入れられていったのかを探る上で、キーンさんの著作は大変参考になる」と語った。キーン氏の遺品を保管する財団が設置されることもあり、日本文学・日本文化の海外進出に果たした役割の顕彰はこれから本格化しそうだ。

(中野稔)

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