物言う株主VS.ツイッター エリオットがCEO交代要求

2020/3/2 5:28
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【ニューヨーク=宮本岳則】米著名アクティビスト(物言う株主)のエリオット・マネジメントが米ツイッターに対し、共同創業者ジャック・ドーシー氏の最高経営責任者(CEO)退任を求めていることが、1日までに分かった。関係者が明らかにした。取締役の派遣も提案している。エリオットが経営に深く関与するようになれば、ハイテク業界の再編機運が高まる可能性がある。

エリオット・マネジメント創業者のポール・シンガー氏=ロイター

エリオット・マネジメント創業者のポール・シンガー氏=ロイター

著名投資家ポール・シンガー氏率いるエリオットは、世界で最も活動的なアクティビストの一つだ。年金基金などから資金を集め、運用総額は2019年12月末で402億ドル(約4兆3千億円)。投資先は米通信大手AT&Tや独ソフトウエア大手SAP、ソフトバンクグループなど世界中に広がる。エリオットのツイッター株保有額は不明だが、4人の取締役派遣を求めているようだ。ツイッター担当者はコメントを拒否した。

ツイッターのジャック・ドーシーCEO=ロイター

ツイッターのジャック・ドーシーCEO=ロイター

ツイッターのドーシーCEOはシリコンバレーを代表する起業家だ。06年にツイッター、09年に決済大手スクエアを創業し、現在も両上場会社のトップを務める。ツイッターを巡っては過去に経営のかじ取りがうまくいかず、一度はCEOの座を追われた。ところが15年、同社の業績低迷と経営の混乱でCEOに復帰した。現在は暗号資産やブロックチェーン(分散台帳)分野にも積極的に取り組んでいる。

ツイッター株は他のハイテク大手に比べて出遅れており、株式市場の一部で不満がくすぶっていた。過去5年間の株価騰落率をみると、ツイッターは2月28日時点で31%安に沈むのに対し、フェイスブックは2.4倍、グーグル親会社のアルファベットは2.3倍に上昇した。エリオットはドーシーCEOをはじめとしたツイッター経営陣が有効な手を打てていないとみているようだ。

エリオットがドーシーCEOを辞任に追い込めば、ハイテク業界で再編機運が高まる可能性がある。ツイッターは16年に業績低迷で身売りを検討し、断念した経緯がある。セールスフォース・ドットコムやグーグルが買収を検討したが、当時、ツイッター生みの親であるドーシーCEOが身売りに消極的と言われていた。ツイッターは現在、広告を閲覧した利用者数を1日あたり1億5200万人と開示している。広告メディアとして同社を魅力的に感じる企業は少なくない。

シリコンバレーのハイテク企業はアクティビストへの拒否感が強い。「教訓」として語られるのは米ヤフーだ。08年には著名投資家カール・アイカーン氏を取締役に迎え、その後も2つのヘッジファンドが経営に関与した。研究開発よりも自社株買いなど株主還元を重視するようになり、結局、主力事業を売却して投資会社になった。

アクティビストへの対抗策として広く普及したのが、上場後も創業者などに経営支配権の維持を認める「複数議決権付き種類株」だ。1株に通常の10~20倍の議決権を認めるもので、フェイスブックなど有力ハイテク企業が相次ぎ発行している。議決権の過半数を身内で固め、アクティビストからの要求をはねつける狙いがある。

一方、ツイッターが発行するのは「1株1票」の普通株のみで、ドーシーCEOは経営支配権を持っていない。エリオットが他の一般株主の支持を得られれば、株主総会を通じて取締役を送り込むことも可能だ。エリオットが株主に名を連ねる電子商取引(EC)大手イーベイは19年に経営陣の刷新を迫られ、CEOも交代した。本業と相乗効果の薄い非中核事業の売却を進めている。

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