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イタリア、新型コロナの感染1000人超に 1日で3割増

米は渡航中止勧告、観光に打撃

【ジュネーブ=細川倫太郎】イタリアで新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。2月29日に感染者は1000人を超え、死者は29人に達した。イタリアから国外に感染が広がる事例も相次ぐ。米国はイタリアの感染拡大地域への渡航中止を勧告するなど、各国は警戒感を強めている。観光業を中心にイタリア経済への打撃は避けられない。

イタリア市民保護局によると、感染者数は1049人と前日から約3割増えた。このうち約6割は、経済都市ミラノがある北部ロンバルディア州で発生している。イタリア政府は感染が集中する北部の11の自治体を封鎖したままだ。周辺では軍や警察が検問にあたるなど厳戒態勢を敷く。

ただウイルスの封じ込めは難しく、イタリアに滞在していた人が他国で感染が判明するケースが続出している。2月28日にナイジェリアやリトアニアで出た初の感染者は、いずれもイタリアから帰国した人だった。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長はイタリア、韓国、イランの3カ国の大規模な感染を「深刻な懸念」としている。

トランプ米政権は2月29日、米国民にイタリアと韓国の感染拡大地域への渡航中止を勧告した。イタリアを訪れる米国人観光客は年間560万人を超え、ドイツ人観光客に次いで2番目に多い。観光産業はイタリアの国内総生産(GDP)の約1割を占める。既にミラノなどではホテルや飲食店の予約が大きく減っており、米国の措置はさらなる痛手となる。

感染が多いイタリア北部には自動車やファッション産業が集中し、同国経済の屋台骨となっている。自動車部品大手のMTAはロンバルディア州の工場の操業を停止中で、欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)など自動車大手への生産に影響が出る可能性がある。

イタリアの2020年1~3月期の実質GDPは2四半期連続でマイナスになるとの声は多く、景気後退に陥る懸念が強まっている。米欧では2四半期連続のマイナス成長を景気後退(テクニカル・リセッション)とみなすことが多い。ユーロ圏で3番目に大きいイタリア経済が一段と冷え込めば、ドイツなど周辺国の景気にも悪影響を及ぼす。

イタリアの感染者の急増や、周辺国にも感染が広がっていることを受け、欧州連合(EU)は6日に緊急の保健相会合を開いて、今後の対応を協議する。現時点ではEUは加盟国間の国境を閉鎖しない方針を保っている。欧州の大半の国が相互に出入国審査を免除する「シェンゲン協定」が一時停止になるような事態に発展すれば、人やモノの行き来は一段と困難になる。

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