FRB、3月利下げ検討 「新型コロナに適切対応」

2020/2/29 4:47 (2020/2/29 6:13更新)
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パウエルFRB議長=AP

パウエルFRB議長=AP

【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は28日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて「我々は政策ツールを用いて、経済を支えるために適切に行動するだろう」とする緊急声明を発表した。「米経済は力強い」と市場に冷静な対応を呼びかけつつ、3月中旬の次回会合で利下げする可能性を示唆したものだ。市場では0.50%の大幅利下げに踏み切るとの観測が高まっている。

FRB議長の声明は、大幅な下落が続く株式市場の強い動揺を抑える狙いがある。「適切に行動する」との文言は、2019年の利下げ局面でも繰り返し用いられた。今回の声明は、FRBが利下げを視野に緊急対応する意図があることを市場に示す狙いがある。声明では「米経済の基盤は力強い。ただ、新型コロナは経済活動にリスクをもたらしている」と強い警戒感を表明した。

FRBは3月17~18日に次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。先物市場ではパウエル議長の発言などを受けて、月内の利下げを100%の確率で織り込んでいる。利下げ幅は通常の0.25%にとどまらず、0.50%になるとの予測が9割を超える。米ゴールドマン・サックスはFRBが3月に利下げを再開して6月までに政策金利を計0.75%引き下げると予測する。

トランプ大統領も26日の記者会見で「政策金利を据え置いているのは好ましくない。FRBには同意しかねる」と利下げ圧力を強めてみせた。FRBはこれまで20年中は政策金利を据え置く方針を示してきたが、トランプ氏の発言で市場の利下げ観測は前日の3割から急上昇した。

もっとも、政策金利を引き下げても、新型コロナによるサプライチェーンの混乱や世界的な旅客需要の落ち込みには直接対処できない。利下げで市場の不安が一時的に和らいでも、新型コロナの流行が止まらなければ景気の下押しを避けることも難しい。市場はパウエル氏の声明を積極的には好感せず、28日も株価の下落は止まっていない。

米経済は過去最長の景気拡大局面にあるが、FRBは19年中に中国との貿易戦争を警戒して、計3回の「予防的利下げ」(パウエル議長)に踏み切った。政策金利は1.50~1.75%まで下がっており、緩和余地に乏しい。金融市場の動揺が止まらないのは、政策ツールの不十分さを不安視したものでもある。

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