日米欧、時価総額1割減 コロナ・ショック市場揺らす
日経平均、週間2000円超下落

2020/2/28 21:30
保存
共有
印刷
その他

世界の金融市場の動揺が止まらない。新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、日経平均株価は週間で2243円、米ダウ工業株30種平均は27日までの4日間で3225ドル下落した。日米欧の時価総額は前週末と比べてそれぞれ約1割減った。各国は感染拡大の封じ込めを急ぐが、人やモノの動きの滞留と裏表の関係にある。生産や消費の停滞が長引けば、世界経済の体力そのものを奪いかねない。プログラム売買による機械的な売りも下げを増幅し、市場は「コロナ・ショック」の様相を呈してきた。

世界的な疫病の流行を示す「パンデミック」。米ムーディーズ・アナリティクスのチーフ・エコノミスト、マーク・ザンディ氏は「パンデミックになる可能性が40%に高まった」とみる。従来予想の25%から引き上げ、パンデミックに陥ると世界および米国経済は2020年上期に景気後退になると予想する。

今週の米ダウ平均の下落率は27日時点で11.1%と、調整局面入りの警戒水準になった。時価総額は27日までで約3兆9千億ドル(10.9%)減った。欧州は同約1兆2600億ドル(8.0%)減、日本は週間で約63兆円(9.8%)減だ。

それ以上に、市場の動揺ぶりを示すのが恐怖指数とも呼ばれるVIX指数だ。27日に39.16と一気に前日比42%上がった。「チャイナ・ショック」があった15年8月以来、約4年半ぶりの高水準だ。

株式や債券など金融商品の値動きの大きさを数値化して自動取引で投資するプログラム売買の存在も株安に拍車をかけている。こうした取引手法では、VIX指数のような市場の変動率を示す指標が高まるにつれ、投資家のリスクの量が増える。増えすぎたリスク量を圧縮するため「ほぼすべてのヘッジファンドが株の持ち高を一気に減らしにきた」(野村証券の高田将成氏)という。

過去にショック安となった局面をみると、株価の下げは今回よりも深くなったケースも多い。01年の米同時テロの後の下げ局面では、日米株は直前の1年間で付けた高値から3~4割下げた。

米金融危機では、米リーマン・ブラザーズが破綻して、取引相手の経営破綻リスクへの警戒が強まったことが危機を増幅した。新型コロナの感染拡大では、人やモノの行き来が止まり、それだけ企業の目の前から売り上げが消えてしまう。財務の弱い企業や中小企業ほど影響が大きい。

信用市場は警鐘を鳴らす。企業の信用力を予想して売買する「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」取引では、北米企業の指数が9カ月ぶりの水準に上昇した。新型コロナウイルスによる需要消失は、カネ余りのなか、借入金を膨らませてきた企業に大きな打撃となる。

マリオット・インターナショナルのアーン・ソレンソン最高経営責任者(CEO)は27日、「2月は中国圏のホテルの客室あたり売上高が前年同月比9割減った」と明かした。自己資本比率は3%足らずしかない。需要の落ち込みが直撃し、CDS保証料率(債務不履行に備えた保険料)は27日に0.65%と約1年ぶりの水準まで上昇した。

もちろん弱気派ばかりではない。著名投資家のウォーレン・バフェット氏は米メディアに対し、「米国のビジネスの10年、20年の見通しが変わるわけでない」旨の発言をした。重症急性呼吸器症候群(SARS)時と同じように、どこかで新型コロナの感染拡大が収束してくれば、経済活動も正常化に向かう。それまで抑え込まれていた需要も合わせて戻ることを考えれば、回復力も強さを伴うだろう。ただ、封じ込めに手間取れば手間取るほど、景況感悪化の足音が後ろから高まってくる、そんな局面に入っている。

(編集委員=藤田和明、富田美緒、長谷川雄大)

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]