雇用に変調の兆し 揺らぐ「緩やか回復」

2020/2/28 23:12
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1月の有効求人倍率は急落した。

1月の有効求人倍率は急落した。

日本経済にブレーキがかかりつつある。厚生労働省が28日発表した1月の有効求人倍率は前月比0.08ポイントの急落で1.49倍だった。新規求人数も2桁減。政府が「緩やかに回復」という景気判断の支えとしてきた堅調な雇用情勢に変調の兆しがみえる。消費増税後に落ち込んだ消費や生産も、持ち直しの期待が新型肺炎でしぼみ、下振れリスクが高まっている。

厚労省が算出する有効求人倍率(季節調整値)が1.5倍を下回るのは2017年5月以来になる。依然として高水準には違いないが、18年から19年前半にかけての1.6倍台に達していた時期からみると低下傾向は明らかだ。明治安田生命保険の小玉祐一氏は「雇用はピークアウトした可能性が高い」とみる。

総務省が28日発表した1月の労働力調査でも就業者数が前月比25万人減る一方、完全失業者が12万人増えた。国内外で新型コロナウイルスの感染が広がる状況だと今後も雇用情勢は当面改善しない公算が大きい。

製造業向け人材派遣やアルバイトなどは既に弱さが目立つ。人材サービス大手エン・ジャパンの調べでは、三大都市圏(関東、東海、関西)の1月の「製造業務」に携わる派遣スタッフの募集時平均時給は1257円で前年同月に比べ3.7%(48円)下がった。全職種の募集時平均時給は2.8%(43円)高い1582円となり、20カ月連続で前年を上回るものの、製造業務の前年割れは19年8月から6カ月続く。

同業大手のディップによると、全国の工場などで働く「製造・技能の職業」のアルバイトの1月の募集時平均時給は1107円で、1.3%(15円)下落。19年10月からマイナスとなっている。

もともと雇用以外の経済指標は停滞感が強い。増税後の19年10~12月期は実質国内総生産(GDP)が年率にして前期比6.3%減り、5四半期ぶりのマイナス成長に陥った。それでも政府は月例経済報告で示す公式の景気判断で「緩やかに回復」という表現を使い続けている。経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)として重視する雇用が安定していることが大きな材料だったが、その根拠が揺らぎつつある。

生産や消費などの統計指標は相変わらずさえない。経済産業省が28日発表した1月の鉱工業生産指数は2カ月連続で上昇したが、昨秋の大幅な落ち込みからの戻り方は鈍い。2月は増産との予測もあるが、集計時点で新型肺炎の影響はあまり織り込まれていないとみられ、実際は下振れしそうだ。

経産省の商業動態統計では小売業販売額が1月まで4カ月連続で前年割れ。消費増税の影響自体は次第に和らぎ、マイナス幅は縮んでいたが、再び暗雲が垂れこめる。

政府が全国の小中高の臨時休校を要請する非常事態で、当面は経済活動の縮小が必至。日本経済が1~3月期に2期連続のマイナス成長となる懸念も高まっている。

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