ホンダも「仲間作り」にギア 米で実験車200台に倍増

2020/3/2 2:00
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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

ドライバーの意思を考慮して車両に任せきりではない「自由運転」というコンセプトを打ち出す

ドライバーの意思を考慮して車両に任せきりではない「自由運転」というコンセプトを打ち出す

ホンダが未来のクルマ社会の実現に向けて「仲間作り」を加速している。国内外の自治体と連携して普及をにらんだ実証実験を広げるほか、スタートアップ企業と組んだ技術革新にも本腰を入れる。自社の開発リソースの枠にとらわれず、独創性があるビジネスを生み出す。「CASE」分野ではトヨタ自動車が「仲間作り」と呼び社外との連携に力を入れるなかで、各社とも視野を広げて競争力に磨きをかける。

ホンダはコネクテッド分野でクルマ同士のやり取りに加えて、インフラとつながる仕組みを提案する。ネットに接続したコネクテッドカーなどを活用する「セーフスウォーム」で、安全で円滑な交通整備をめざす。

これまでの車両だけのデータから衝突回避や渋滞を防ぐ仕組みづくりを進めてきたが、さらに踏み込む。2020年から車両と信号機などの交通インフラをつなぎ、死角でも歩行者は他の車両を確認できるようにする。

ホンダは「セーフスウォーム」について、18年から米オハイオ州コロンバスとホンダのR&Dセンターを結ぶ州道路で実証実験を実施している。現在は専用機器を搭載した車を約100台使っているが、今後は2倍の約200台まで増やす計画だ。

あわせて、同メアリズビルでは交差点の信号機にカメラやセンサー、通信機を設け、新たな実証実験をこのほど始めた。

実証実験はエリアをさらに広げる方針で、ホンダは研究開発や共同実験に賛同するパートナーを募っていく。コネクテッドカーや自動運転に関わる企業に加えて、実証実験を共同で行う自治体に呼びかける。

米ラスベガスで20年1月上旬に開いた世界最大のデジタル技術の見本市「CES」でこうした技術を披露した。17年から4年目の展示となるホンダは今回、自社のブース内に7つのアイテムを出展した。その1つが「セーフスウォーム」だ。

CESでは生産現場の生産性を高める取り組みを紹介した。英国に本社を置くモノリス エーアイの人工知能(AI)を使って、ホンダの研究所で描いたデザインを工場で作業できるかどうかを判断。オランダの企業が提供するモバイルスーツも、頭上作業時の肩のけがのリスクを低減する技術として紹介した。

「インダストリアル イノベーション」という構想で、外部企業などとのオープンイノベーションで技術革新を推し進める。従業員の労働負荷の高い生産現場にIT(情報技術)を導入することで、生産性や効率性を改善していく。ヒトに優しい労働環境を実現するため、ものづくりのデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む。

国内外で関心の高い「自動運転」については、「自由運転」のコンセプトを示している。目的地までの効率重視の運転ではなく、運転席と助手席の間に置くステアリングを使いつつ、散歩気分で運転を楽しんでもらうことを目指す。未来のモビリティー社会を模索するなかで、新たな自動運転の考え方を提唱し、ホンダが描く移動の価値を提案する。

足元の販売や業績は苦戦気味だが、これからの環境変化に対応した中長期的な戦略にも目を向ける。ホンダが見据える未来の実現に向け、企業や自治体を巻き込んだネットワークがカギを握る。スピード感が求められるなかで、完成車メーカーが単独での勝ち残りは限界がある。ホンダらしいビジョンに共感するパートナーを募り、到来するCASE時代に向けギアを上げる。

(企業報道部 原欣宏)

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