雇用も変調、日本経済にブレーキ 新型コロナで下振れ懸念

2020/2/28 12:29
保存
共有
印刷
その他

日本経済にブレーキがかかりつつある。28日公表の政府統計によると1月は鉱工業生産指数が2カ月連続で上がったが、昨秋の大幅な落ち込みからの戻りは鈍い。小売業販売額は4カ月連続マイナス。それぞれ年明け以降に回復が進む見込みだったが、新型コロナウイルスの感染拡大で一転、先行きは下振れリスクが高まっている。政府が「景気は緩やかに回復している」と判断する根拠の一つだった雇用も有効求人倍率が急落し、変調の兆しが見える。

1月の各指標は新型コロナウイルスの影響をまだ一部しか反映していないものの、いずれもさえない数字だった。全体として米中貿易戦争などによる世界経済の減速や消費増税がなお尾を引いているとみられる。ここにきて世界的な半導体市況の持ち直しといった明るい材料もあったが、新型肺炎の広がりで脇におしのけられそうだ。

経済産業省は生産指数の動きについて「上昇が続いたものの勢いは感じられない」との見方を示す。メーカーの先行き予測をまとめた製造工業生産予測調査によると、2月は前月比5.3%の上昇、3月は6.9%の低下となる。ただ2月上旬時点の集計のため、足元の一段の感染拡大は織り込まれていない。実際は「下振れする可能性がある」。

経産省の商業動態統計では小売業販売額が4カ月連続で前年割れとなった。1月は0.4%減にとどまり、マイナス幅が縮んだ。消費増税の影響はようやく和らぎつつあったが、再び暗雲が垂れこめる。同省のヒアリングでは「2月に入って外国人客が来ない」といった声が出ており、見通しは暗い。

総務省が28日発表した2月の東京都区部の消費者物価指数では、訪日客の動向を映す宿泊料が前年度同月より3.1%下がった。さらにイベントの自粛などで人の動きが滞れば、消費全体の失速は避けられそうにない。

内需を支えてきた雇用にも陰りが見える。厚生労働省が28日発表した1月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.08ポイント下がり、1.49倍となった。新規求人数は前年同月比16%減。今後、企業業績が落ち込めば雇用にさらにしわ寄せが及ぶ恐れもある。

日本経済は2019年10~12月期に消費税率の引き上げや大型台風などが重しとなって実質国内総生産(GDP)が前期比の年率換算で6.3%減り、5四半期ぶりのマイナス成長に陥った。20年は東京五輪・パラリンピックに向けて回復が進むとの見方が市場でも多かったが、楽観シナリオは新型コロナウイルスの感染拡大で崩れ去った。

政府が全国の小中高の臨時休校を要請する非常事態で、当面は経済活動の縮小が必至。1~3月期に2期連続のマイナス成長となる懸念も高まっている。

電子版の記事が今なら2カ月無料

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]