米利下げ観測急浮上、新型コロナで市場・政権が圧力

2020/2/28 7:31
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パウエルFRB議長=AP

パウエルFRB議長=AP

【ワシントン=河浪武史】新型コロナウイルスの感染拡大で株価が急落し、金融市場では米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が急速に高まってきた。先物市場では3月中旬の次回会合で利下げするとの予測が79%まで上昇。6月まででみると97%まで高まっている。トランプ米大統領はFRBに金融緩和を求めており、FRBには再び市場と政権の二重の圧力が強まっている。

FRBは3月17~18日に次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、金融政策を議論する。パウエル議長は「新型コロナは中国を混乱させ、世界経済に波及する可能性がある」として、情勢を注視する考えを強調している。25日に講演したクラリダ副議長は「新型コロナによって景気見通しを変更するのは時期尚早だ」と述べ、現時点で早期の利下げに言及するのは避けている。

にもかかわらず、市場で利下げ観測が高まるのは、27日にダウ工業株30種平均が1000ドルを超える下げとなり、市場の混乱が止まらないためだ。利下げで新型コロナの経済への影響を抑え込むのは難しいが「FRBが先行きリスクに素早く対処すると市場に安心感を与えることはできる」(FRB元高官)。

トランプ大統領も26日の記者会見で「政策金利を据え置いているのは好ましくない。FRBには同意しかねる」と利下げ圧力を強めてみせた。FRBはこれまで20年中は政策金利を据え置く方針を示唆してきたが、トランプ氏の発言で市場の利下げ観測は前日の3割から急上昇した。11月の大統領選で再選を目指す同氏にとって、株価の下落は大きな逆風だ。

もっとも、米政策金利は2019年中の3回の利下げによって1.50~1.75%まで下がっており、緩和余地は乏しい。国際通貨基金(IMF)は新型コロナの世界経済全体への影響は20年通年で0.1%の下振れにとどまると現時点で予測する。景気後退リスクが高まれば「利下げもありうる」(シカゴ連銀のエバンズ総裁)が、ぎりぎりまで景気への影響を見極めたいのが本音だ。

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