独バイエルの純利益2・4倍 農薬訴訟の原告、大幅増
【フランクフルト=深尾幸生】医薬・農薬大手の独バイエルが27日発表した2019年12月通期の決算は、純利益が前の期の2.4倍にあたる40億9100万ユーロ(約4900億円)だった。18年に買収した種子大手のモンサントが通年で算入された。関連会社の株式売却収入が16億ユーロあった。旧モンサントの農薬をめぐる訴訟の原告数は1年前の約4倍の4万9千人近くに膨れあがった。

売上高は19%増の435億4500万ユーロ。収益の指標としている特殊要因を除くEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は28%増の115億300万ユーロだった。
農業部門の売上高は39%増の198億ユーロ、EBITDAは81%増の47億ユーロだった。モンサント買収が貢献したが、買収にともなうリスクは抱えたままだ。
主力の除草剤「ラウンドアップ」の主成分、グリフォサートの発がん性が疑われている訴訟について、2月時点で米国の原告数が4万8600人に膨らんだ。ヴェルナー・バウマン社長は、米環境保護局(EPA)が1月に健康のリスクがないとの調査結果を出したことを引用し「グリフォサートは指示通りに使えば常に安全だ」と話した。
バイエルは旧モンサントの別の除草剤「ジカンバ」でも訴訟を抱える。米国の裁判所は今月、バイエルに対し、原告に2億6500万ドル(約291億円)を支払うよう命じる判決を出した。バウマン社長は「判決は不服だ。迅速に控訴する」と述べた。