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アフリカ移民、メキシコで急増 欧州断念し米目指す

【メキシコシティ=丸山修一】アフリカから大西洋を越え、中南米経由で米国を目指す人々が急増している。メキシコで滞在許可を求めたアフリカ出身者は直近5年間で3倍以上になった。欧州諸国が門戸を狭める中、米を新たな目的地にする動きが強まっているためだ。増加が続けば、中南米出身者のように、米メキシコ間の新たな移民問題となる恐れもある。

中南米からの移民がたどり着くメキシコ南東部チアパス州タパチュラ。これまでは国境を接する中米グアテマラやホンジュラスなどからの移民が多かったが、異変が起きたのは2019年のことだ。

「何日待たせるんだ。早く許可を」。滞在手続きをする国家移住庁(INM)事務所にアフリカ出身者が集団で連日のように詰めかけた。一時は100人以上が事務所前で寝泊まりする事態になった。政府は法的には、アフリカからの入国者には滞在許可を出す必要があるにもかかわらず、米へ向かうことを恐れ対応を長期間放置した。

滞在許可を求めて当局に出頭したアフリカ出身者の人数は19年に7352人と、18年の2.5倍になった。国内紛争の影響があるカメルーン、コンゴ民主共和国、アンゴラがその大半を占める。

メキシコのタバスコ自治大学の調査などによると、アフリカからまず、入国要件が比較的緩い南米エクアドルやブラジルに空路で渡り、中米を陸路や海路で北上してメキシコに到達するケースが多い。大半が20~30代の単身男性で、家族連れの多い中米とは異なる。

アフリカ出身者が急増した背景には、目的地となっていた欧州が、受け入れを制限する姿勢を強めていることがある。欧州連合(EU)加盟国間でアフリカ移民に対する調整がつかず、地中海諸国に負担が集中している。アフリカからの密航船や非政府組織(NGO)の救助船入港を阻む動きも出ている。

一方で米国は欧州諸国ほどアフリカ移民を締め出していない事情もある。タパチュラで移民支援施設「ディグニフィカシオン・ウマナ」を運営するルイス・ビジャグラン氏はアフリカ移民の米行きに関し「時間はかかっても大半の難民申請は受け入れられている」と明かす。

アフリカ出身者は少数にとどまるため、比較的、難民申請が通りやすいようだ。中米出身者のように別の国で難民申請をさせられることもなく、協定がないため出身国への強制送還の可能性も低い。

もちろんアフリカ出身者が中南米を経由して米を目指す流れがこのまま定着するかはまだ見通せない。エクアドル外務省は19年8月、アンゴラなど入国者が急増している11カ国に対して観光目的であってもビザ(査証)を義務付ける措置を発表した。事実上、フリーパスだった入国を厳格化した。中米から米への難民申請数は高水準で、許可までの時間は長期化している。

関税など経済的脅しをちらつかせ、メキシコや中米諸国に不法移民の事実上の「壁」になることを強制したトランプ米大統領。米メキシコ国境付近での拘束者数は19年5月の14万人をピークに減少し、成果を主張している。

ただトランプ政権は移民・難民が発生する問題の根本解決に関心は低いのが現状だ。移民支援施設「ヘスス・デル・ブエンパストル」を運営するオルガ・サンチェス氏は「出身国で政治的、経済的な問題が続く限り移民はなくならない」と話す。トランプ氏がメキシコや中米の次にアフリカ諸国に批判の目を向ける日が来るかもしれない。

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