群馬墜落ヘリ、機長の「空間識失調」が原因 安全委員会が報告書

2020/2/27 10:00
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運輸安全委員会は27日、登山道の調査中だった群馬県の防災ヘリコプターが2018年8月、山中に墜落し、搭乗員9人全員が死亡した事故の調査報告書を公表した。天候悪化で雲の中を飛行して地形を確認できなくなり、天海紀幸機長(当時57)が機体の高度や姿勢を把握できなくなる「空間識失調」に陥り、正常に操縦できなくなったことが原因と結論づけた。

 群馬県の山中に墜落し、大破した県防災ヘリコプター(2018年8月11日、運輸安全委員会提供)=共同

警察や消防のヘリは気象が変化しやすく予測が難しい山岳地帯を飛ぶ機会が多い。安全委は空間識失調に陥った場合の対処法や予防策を周知するよう国土交通相に勧告した。天候が悪化した場合の引き返しや必要に応じて自動操縦に切り替える必要があると指摘した。

防災ヘリの事故が近年続発していることを踏まえ、操縦士2人が搭乗する「ダブルパイロット制」の有効性も指摘した。総務省消防庁は昨年、22年4月から導入する新ルールを決めている。

事故は18年8月10日午前10時ごろに発生。長野、新潟県境の稜線(りょうせん)を結ぶ登山道を上空から確認するための飛行中に墜落し、群馬県が運航委託していた東邦航空(東京)から出向した機長や消防職員ら搭乗していた9人全員が外傷性ショックで死亡した。

報告書によると、機長は飛行中に雲を避けようとし、高度や針路を変更。数回にわたり最低高度以下を飛ぶこともあった。墜落直前には周囲を雲に覆われ地表がほとんど見えない状況で、加速や旋回を繰り返した。高度計などを十分に確認せず、空間識失調に陥った可能性がある。墜落5秒前に空間識失調を認識し、自動操縦に切り替えようとしたが、正しく操作できなかった。

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