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小規模イベント、街頭募金… 新型コロナに自粛の波

新型コロナウイルスの感染拡大で、安倍晋三首相が26日に要請した今後2週間のイベント中止。対象は全国的なスポーツ大会や文化行事としていたが、自粛の波は小規模な地域の催しや料理教室にまで及ぶ。「規模の判断がつかないが、やむをえない」。半世紀続いた街頭募金も中止し、インターネットなどを利用して寄付を呼びかける。

「参加者及び関係者の安全を考えた結果中止することとなりました」。東京都文京区で開催中の「ねこまつりat湯島」の実行委員会は26日、29日に予定していた一部イベントの中止をツイッターなどで告知した。

中止したのは、ネコのスタンプをあしらった御朱印を神社で授与する催し。22日にも開催し、1日で500人ほどが集まった。神社側のスタッフは70代以上が多く、感染した場合の重症化が懸念されたことが中止の大きな理由となった。

実行委員会の代表を務める海老原久美さんは「政府の要請が中止の目安になった。判断が難しい面があったがやむを得ない」と話す。

政府が要請しているのは大規模イベントの中止。だが、規模の基準は示されず、実施判断は主催団体に委ねられている。

神戸市で3月7日に開催予定だった「いかなご祭2020」も中止を決めた。イカナゴは近畿に春の到来を告げる魚で、開催地の垂水区はイカナゴの「くぎ煮」(つくだ煮)の発祥地ともされる。毎年3千人ほどが来場していた。

「兵庫県にはまだ感染者がいないが、人が絶え間なく出入りし濃厚接触を避けられない」。主催する垂水商店街振興組合の谷口洋子さんは理由を説明する。ただ「大規模イベントの自粛ということだが、大きいのか小さいのか判断がつかなかった」とも。中止すべきかどうかを県と市に問い合わせると「それだけ集まったら大きいほうでは」と言われたという。

「大規模なイベントではないが、参加者同士が至近距離で作業し、休講もやむをえない」と話すのは料理教室「ホームメイドクッキング」(東京・中央)の広報担当者。大規模イベント中止の呼びかけをきっかけに26日、全国79カ所の教室の休講を決めた。チケット制のためキャンセル料は生じないが、チケットの有効期限を2週間延ばすかを検討している。

多くの教室では6~7人が3組ほど集まって調理し、最後は全員で試食する。講師は1日に30人以上と顔を合わせることもあり、万一感染すれば生徒にうつすリスクもあった。「2週間営業できないのは残念だが、料理教室で感染したという結果を招きたくなかった」と話した。

半世紀にわたって続いてきた活動にも影響が及んでいる。

病気や災害などで親を亡くした子どもの進学を支援する「あしなが育英会」(東京)。4月に全国で予定していた街頭募金活動を中止すると発表した。約40億円の寄付を見込んでいたが、参加者に感染の懸念があると判断。街頭募金の中止は初めてで、ネットなどでの寄付を呼びかけている。

同会の玉井義臣会長は26日に記者会見し「奨学金の需要が増えている中で、大切な時期に街頭に立てなくなった」と強調した。学生募金事務局で事務局長を務める神戸市西区の大学2年、岡本蓮さんも同席し「街頭活動は困っている遺児に奨学金を知ってもらう機会でもあり、中止は悔しい」と話した。

育英会によると、1970年以降、毎年春と秋に街頭で募金活動を実施し、今回は全国約300カ所で延べ2万人の奨学生やボランティアが参加する予定だった。

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