新型コロナ、隔離拒否を懲役刑に 韓国で関連法成立

2020/2/26 20:40
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26日、韓国・大邱の病院を訪れ新型コロナウイルスの対策に当たる看護師らを激励する丁世均首相(右端)=聯合・共同

26日、韓国・大邱の病院を訪れ新型コロナウイルスの対策に当たる看護師らを激励する丁世均首相(右端)=聯合・共同

【ソウル=恩地洋介】新型コロナウイルスの感染者が急増する韓国の国会で26日、感染が疑われる人が隔離措置に応じない場合の罰則を強め、感染症発生国からの外国人の入国を禁止できる関連法が成立した。これ以上の感染拡大を阻止するため市民らの行動を法的に制限する。韓国政府は立法措置を通じ、流行初期の封じ込めの失敗を挽回し、社会不安の拡大と経済への打撃を最小限に抑える構えだ。

韓国政府は集団感染が起きた南部、大邱(テグ)の状況を4週間で安定させる目標も掲げた。

韓国政府によると、26日時点の韓国の感染者は前日から284人増えて計1261人。中国に次いで世界で2番目に多い。新たにモンゴル人男性らの死亡が確認され、新型コロナの死者は同日現在で計12人となった。

26日成立した改正感染症予防法は、感染症の疑いのある人が隔離措置に従わず他人と接触した場合などに1年以下の懲役または1千万ウォン(約90万円)以下の罰金を科す内容だ。流行期にマスクや消毒剤が不足する場合は、輸出制限を発動できる条項も盛り込まれた。

韓国の保健当局は感染者に症状が表れてから2メートル以内で接触した人に2週間の自宅隔離を勧告している。従えば4人世帯基準で123万ウォンの生活支援費が支給される。

改正検疫法には、保健福祉相が感染症発生国からの外国人入国を禁じるよう法相に要請できる条項が追加された。韓国政府は日本と同様、新型コロナの発生地である中国の湖北省に滞在歴のある外国人の入国を禁じたが、法的根拠が乏しく、ビザの効力停止や新規発給の取りやめで対応した。

韓国では最大野党の未来統合党など保守勢力を中心に、中国人の入国禁止を求める声がなお強い。大統領府ホームページの国民請願掲示板では中国人の入国禁止を求める請願が76万件にのぼる。

国会が法整備を急いだのは、感染者が爆発的に増える非常事態に対応するためだ。新興宗教団体の教会で集団感染が起きた大邱では、9千人とされる信者らの行動履歴を把握し切れず、住民が不安を募らせている。韓国政府は丁世均(チョン・セギュン)首相を現地に常駐させ、接触者の隔離やほかの地域への拡散防止に尽力する。大邱の状況が安定するには少なくとも4週間が必要だと判断しており、その範囲で改善を目指す考えだ。

米JPモルガン・チェースが24日に公表した報告書は、韓国全体の感染状況のピークは3月20日で、その際の感染者数は1万人に達すると予測。韓国銀行(中央銀行)が2.3~2.4%と見込んでいる2020年の実質成長率を下げるリスクが高まったと指摘した。

韓国には15年に流行した中東呼吸器症候群(MERS=マーズ)を巡る苦い経験がある。国内で186人が感染し、38人が死亡した。後手に回った政府の初期対応は批判にさらされ、当時の朴槿恵(パク・クネ)政権の支持率が下がった。観光客の減少や消費活動の低迷で同年の実質成長率を0.3ポイント引き下げた。

韓国政府はこれを教訓に防疫や感染者管理に関係する機関の権限を定める法律を整えたが、それでも新型コロナの爆発的な感染拡大を抑えられなかった。

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