産業育成・子育て手厚く 四国4県の20年度予算案

2020/2/26 20:30
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四国4県の2020年度予算案が出そろった。20年度から5年間が地方創生の総合戦略の第2期にあたり、各県とも人口減対策に重点を置いた。産業育成を通じて若者の流出を防ぐ一方、子育て環境の充実にも力を入れ、人口構造の若返りを目指して手を打つ。財政運営は厳しさを増しているが、知恵を絞って「ヒト・モノ・カネ」を呼び込む地域づくりを進める。

「若者の就業率が高く、将来の成長が見込まれる情報通信関連産業の育成・誘致に重点的に取り組む」。2月県議会で、香川県の浜田恵造知事はこう訴えかけた。

若者の流出防止に力を込めたのは、県の第2期総合戦略で転入と転出の差である人口の社会増減を24年にプラス1千人とする目標を掲げたことと関係する。第1期は19年に社会減270人程度にとどめる目標だったが、同539人の転出超過だった。

実現には産業育成が欠かせないとみて県は20年度の組織改正で「情報通信産業振興室」を設置。予算案では1億1800万円を計上し、高松市内の情報通信交流館の一部を改修して人材育成や企業誘致の拠点とする。

香川県はオリーブ産業の育成に力を入れる(小豆島)

香川県はオリーブ産業の育成に力を入れる(小豆島)

日本一の産地を形成するオリーブ産業の育成も強める。オリーブ牛の生産者の施設整備支援で3億円を盛り込んだほか、オリーブオイルの品質評価体制充実に取り組む。

徳島県も20年度から第2期総合戦略が始まる。15年度スタートの第1期戦略で掲げた20年までに社会増減を均衡させる目標は達成できないことが確実で、均衡の目標時期を30年に設定し直した。

仕切り直しとなる20年度予算案では「地方創生関連」施策に重点配分し、2月補正を含めて人口減対策として519億円を充てた。前年度に比べて13億円の増加で、地方創生関連予算としては過去最大だ。

過疎地を中心に、次世代通信規格「5G」、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」技術といった先端技術を活用して1次産業の活性化や医療環境の充実を進める。飯泉嘉門知事は「(先端技術を社会に取り入れる)Society5.0を実現し、新次元の地方創生となる予算編成とした」と話す。

高知県は20年度からの第2期の総合戦略で、まずは社会増減を均衡させ、40年に年1千人の社会増の実現を目標に掲げた。第1期は「一定の改善傾向にあるものの、若者を中心に県外流出が続く」と総括。若者の定着・増加を目指して仕事を創出する取り組みを強めようと、複数の企業がそれぞれの技術やアイデアを持ち寄り組み合わせる「オープンイノベーション事業」を立ち上げる。

同事業のため20年度予算案で8300万円を計上。県外のコンサルタント会社などと連携し、企業が持ち寄った案件をデジタル技術で解析。有望だと判断すれば製品を開発したりサービスを実証実験したりする。地場産業とデジタルの融合は県の基幹産業である農業でも活用する。

人口構造を若返らせ、将来の人口増を目指すには、子育て環境の充実も欠かせない。

愛媛県は第2期総合戦略で、18年に1.55だった合計特殊出生率(女性1人が生涯に産む子供の推計数)を、22年に1.63程度にまで高める目標を定めた。実現に向け、県は民間企業や個人などから寄付を募り、同額を県が事業費に上乗せする「子どもの愛顔(えがお)応援ファンド」を創設。20年度から本格的に始動させる。

同ファンドを活用し、八幡浜市などで長期休暇中や農繁期の子どもたちに居場所を提供する休日子どもクラブや、松山市で大学の空きスペースを活用した体験交流活動などを計画する。また、市町や県内製紙会社と連携し、第2子以降が出生した世帯に紙おむつ購入券5万円分を交付する事業の継続も予定している。

■財政健全化と両立苦慮、事業廃止や基金取り崩しも
 人口減に加えて、防災・減災対策にも力を入れる必要があり、四国4県の台所事情は厳しさを増している。20年度予算案では事業廃止を加速させるなど苦慮した跡が見て取れる。
 香川県は財政運営指針に基づく対策を講じても財源不足が生じる厳しい状況。新規重点枠は半減の5億円とし、廃止事業の予算額も19年度の22億円から20年度は40億円に増やした。財源対策用基金も取り崩し、20年度末の基金残高は19年度補正後と比べて41.8%減の115億円を見込む。
 一方で財政健全化も進めなければならない。20年度末の県債残高は前年度の同時期と比べて0.7%減の8496億円を見込み、50年ぶりの減少を予想する。
 高知県は国の財源を活用した「やりくり予算」で財源不足額が91億円と9年ぶりに100億円を割り込んだ。だが、防災・減災のインフラ投資で、19年度末の県債残高は8853億円と2%増える見込み。県は「退職手当債や行政改革推進債の発行を抑えていき23年度以降は県債残高を減らしていく」と説明する。
 愛媛県の県債残高は1.4%減の1兆366億円を見込むが、高止まりの状態が続いている。財源不足から基金を取り崩したことで、目標残高との乖離(かいり)は広がった。
 徳島県は09年度末に基金が底をつきかけたが、19年度末の基金残高は810億円まで回復する見通し。20年度末も800億円を維持する。

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