競馬実況アナ日記

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地方競馬の晴れ舞台 笑顔咲いたNARグランプリ

2020/2/29 3:00
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2019年の中央競馬で活躍した人馬を表彰する日本中央競馬会(JRA)賞の授賞式が1月27日、東京都内で開かれました。年度代表馬リスグラシューをはじめ、受賞馬の関係者、年間を通して優秀な成績を収めた騎手や調教師の皆様が表彰され、会場内は華やかなムードに満ちていました。「何度でもここに来たい」と語る関係者も多く、この場に立つことが中央競馬に携わるホースマンにとって、特別な名誉であることは確かでしょう。

実は、地方競馬にも「地方競馬全国協会(NAR)グランプリ」があり、今回は節目の30回目。授賞式が2月17日、やはり都内で開かれました。筆者も最近は毎年、取材で足を運んでいますが、JRA賞と同じく、会場は華やかなムードに満ちていました。今回は、表彰式から印象に残る場面をリポートしたいと思います。

壇上に勢ぞろいした調教師・騎手部門の表彰者

壇上に勢ぞろいした調教師・騎手部門の表彰者

昨年、地方競馬で360勝をあげて3年ぶりに「最優秀勝利回数騎手賞」を受賞したのは森泰斗騎手(船橋)。実は勝利数2位の吉村智洋騎手(兵庫)も334勝で、自身初の全国最多勝を獲得した18年から40勝近く伸ばし、15年ぶりに年間300勝突破者が2人出るという、ハイレベルな争いが展開されていました。

森騎手、今年は「400勝してみたい」

森騎手は記者会見で「5年ぶりくらいにけがをしなかった、これが一番の要因かなと思います」。1年を通して活躍するために気をつけていることを問われると「たくさんあります。食事から体づくり、人との付き合いもですね」。やはりトップに立つ人のプロ意識、努力は並大抵ではないのでしょう。

今年については「(あと150勝ほどに迫る)通算3000勝を達成したい」のに加えて、「簡単なことではないと思いますが……(地方競馬で年間)400勝してみたいですね」とも。年間400勝となれば、内田博幸騎手が06年にマークした463勝以来の大記録。今年も勝利数トップを走り、「狙える」ペースだけに注目です。

一方、調教師部門では打越勇児調教師(高知)が2年連続で「最優秀勝利回数調教師賞」を受賞。18年の197勝から202勝に勝ち星を伸ばし、見事「全国2連覇」となりました。会見では「まさか取れるとは思っていなかった。すごくうれしいですね」と晴れ晴れとした表情で語っていました。

2年連続最多勝の打越勇児調教師

2年連続最多勝の打越勇児調教師

08年度には年間売り上げが38億円台まで落ち込み、存続の危機に直面した高知競馬ですが、通年ナイターの導入やネット発売の拡大などで、18年度の売り上げは3年連続のレコード更新となる429億円。会見後の祝賀会でもお話を伺う機会があり、このV字回復には「感無量、うれしいですね。ジョッキーも含めてみんな一生懸命やってきましたから、それを全国の皆様に評価していただけたのかなと思います」としみじみと語ったのが大変印象的でした。昨年は通年ナイター導入10周年を迎え、新人騎手3人もデビューした高知。この先どんな盛り上がりをみせてくれるでしょうか。

今回、個人的に「ぜひ会って話を聞いてみたい」と思っていたお二人は、北海道・道営競馬の関係者。まずはコスモバルクとのコンビで注目を集め、06年にはシンガポール航空国際カップで海外G1も制した五十嵐冬樹騎手。9年ぶりに誕生した道営三冠馬リンゾウチャネルが3歳最優秀牡馬に選出され、晴れて表彰となりました。三冠のかかる馬に乗る心境を聞くと「三冠をとれる馬に携わらせていただいて、関係者の皆様に感謝の気持ちでいっぱいです」。「三冠」が大変な名誉であることは中央でも地方でも変わらないようです。

コスモバルクでホッカイドウ競馬が注目を浴びる経験をしているだけに、今の盛り上がりには「今は2歳馬中心になっていますし、2歳からの競馬を全国の皆様に見ていただいて、応援していただけたらいいですね」と期待を語ってくれました。リンゾウチャネルはすでに船橋・矢野義幸厩舎へ移籍していますが、今年は全国区での活躍を期待したいところです。

今回表彰された人馬を集めたモニュメント

今回表彰された人馬を集めたモニュメント

もう一人、今年もお話を伺ったのは田中淳司調教師。エーデルワイス賞(Jpn3)を制したコーラルツッキーが2歳最優秀牝馬に選出されての受賞となりました。ほかにもハッピーグリンが昨年も積極的に中央の芝のレースに参戦し、香港G1、チャンピオンズ&チャターカップにも遠征。「エーデルワイス賞も勝たせていただいて、海外にも行って、充実した1年でした」

地方からの海外挑戦に関しては「オーナーの理解も得て遠征できて、本当に馬にとっても僕らにとっても貴重な経験だったと思います。(近年の地方競馬の売り上げアップ、盛り上がりには)スターホースが出てきていて、その馬たちが中央の馬を負かしているというのも、売り上げにつながっているのかなと思います」と語っていました。

最後に「今年もコーラルツッキーやハッピーグリンのようなスターホースを出していきたい」と力強い抱負。ハッピーグリンがセントポーリア賞を圧勝した時、「すごい地方馬が出てきた!」と驚きながら実況するというご縁もあった立場としては、また勝つ場面を実況できるのを期待したくなります。

地方馬躍進、15年ぶりドバイ遠征も

売り上げの上昇に呼応するように、昨年は地方所属馬の躍進も目立ちました。JBCスプリント、全日本2歳優駿(ゆうしゅん)と地方馬が交流Jpn1を制したのをはじめ、地方馬7頭がダートグレード競走制覇。今年に入っても川崎記念(Jpn1)で川崎のヒカリオーソが2着、船橋のミューチャリーが4着と健闘しました。フェブラリーステークスにも地方馬3頭が参戦を果たし、最先着(6着同着)したモジアナフレイバー(大井)は、3月末のゴドルフィンマイル(国際G2)へ招待されています。

地方馬のドバイ遠征は、アジュディミツオーがドバイ・ワールドカップへ参戦して以来15年ぶり。層の厚さが増している地方馬が、中央勢や海外勢相手に、どんな競馬を見せるか? 快挙達成の瞬間を数多く見られることを期待しつつ、来年もNARグランプリの席で、晴れやかな表情の関係者の方々と再会するのを、楽しみにしたいと思います。

(ラジオNIKKEIアナウンサー 大関隼)

 各アナウンサーが出演、ラジオNIKKEIの競馬番組はこちらでチェック! http://www.radionikkei.jp/keibaradio2/

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