テスラ車の死亡事故、運転支援システムにも一因 米当局が結論
【シリコンバレー=白石武志】運輸事故の調査を担う米運輸安全委員会(NTSB)は25日、2018年に運転支援システムの作動中に起きた米テスラ車の衝突死亡事故の原因を特定したと発表した。同システムに過度に依存した運転手の注意散漫が事故原因とする一方、車内のカメラを使ってドライバーの視線を監視するシステムの不備も一因だったと結論付けた。
問題となった事故は18年3月に米カリフォルニア州の高速道路で発生した。運転支援システム「オートパイロット」を起動して走行中だったテスラ製の電気自動車(EV)「モデルX」が中央分離帯に衝突・炎上し、運転していた男性が死亡した。運転手は走行中に携帯電話のゲームに熱中していたとみられ、車載機器の記録からは衝突の瞬間までハンドルやブレーキを操作した形跡はなかった。
NTSBのサムウォルト委員長は「この悲劇的な衝突事故は、消費者が今日利用できる先進的な運転支援システムの限界を明確に示している」とコメントした。NTSBは連邦政府による監督が不十分だったとして、安全管理を担う米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)などに対し、前方衝突回避システムの評価試験の強化や、標準的なドライバー監視システムの共同開発などを勧告した。