19年の韓国出生率、過去最低の0.92

2020/2/26 12:00
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韓国の若者の不満の背景には経済格差もある(2019年11月、香港の民主化運動を支援してソウルで起きたデモ)

韓国の若者の不満の背景には経済格差もある(2019年11月、香港の民主化運動を支援してソウルで起きたデモ)

【ソウル=鈴木壮太郎】韓国統計庁が26日発表した韓国の2019年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の数)は0.92となった。18年に初めて1を下回り世界最低水準となったが、低下に歯止めがかからない。文在寅(ムン・ジェイン)政権は少子高齢化対策に力を入れるが、成果があがっていないのが実情だ。

韓国の出生率は80年代に2を割り込み、18年には0.98と、初めて1を下回った。経済協力開発機構(OECD)平均(17年=1.65)を大きく下回り、日本(18年=1.42)と比べても格段に低い。

19年に生まれた子どもの数は前年比7.3%減の30万3100人と、4年連続で前年を下回った。女性1000人あたりの出生児数は20代が前年比13%減、30代前半が同6%減と、若い世代で大きく減っている。

韓国の出生率が低いのは複合的な要因が絡んでいる。漢陽大の河駿●(ハ・ジュンギョン)教授は「出産すると職場復帰しにくい労働環境、重い教育費負担、住宅価格の高騰などで、女性が出産をためらっている」と指摘する。

女性の社会進出が進む一方、育児との両立のハードルはまだ高い。実家に支援を仰ぐか、高額のベビーシッターを雇う必要がある。学歴を重視する韓国では塾などの習い事にかかる費用も家計を圧迫する。ソウルのマンション価格は平均で約9億ウォン(約8100万円)と、この3年で50%も上昇。子どもを産み育てる余裕がなくなっている。

景気減速も出生率低下に拍車をかけている。河氏は「若年層の所得の伸びは40代後半~50代に比べて低い。造船や自動車部品など製造業では子育て世代の30~40代がリストラ対象になり、出生率にも影響を与えた」と指摘する。

文政権は18年12月「低出産・高齢社会政策ロードマップ」をまとめた。出産・養育費支援の増額や小学校入学までの医療費無料化、育児休暇時の給与引き上げなどで子どもを産みやすい環境づくりをめざすが、「これといった成果をあげていない」(河氏)。構造問題の解決には時間がかかり、出生率の低下傾向は続く可能性が高い。

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