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ドローン世界最大手DJI、中国法人市場に挑戦

ドローンメーカー世界最大手の中国「DJI(大疆創新科技)」は2019年末、社内向けに初めて自社ビジョンを明確に定め、「人類の進歩を促進し続けるテクノロジー企業となる」と謳った。

現在、DJIの売上高の大半を占めるのは一般消費者向けドローンだが、DJIにとっては単なるドローンメーカーとみなされるのは不本意だ。1月に開催されたの「CES 2020(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)」では、DJIの社内インキュベーションで誕生した子会社「Livox Technology」がLiDAR(ライダー)製品をリリース、自動運転業界への参入を果たした。今後さらに多くの分野でDJIの姿が見られるようになるだろう。

DJIのドローンはスマート農業にも応用されている(図虫提供)

しかし、法人向け市場でDJIは後発企業であり、細分化されたどのカテゴリに参入しても強力なライバルに遭遇する。自動運転の要となるLiDAR開発では、百度(バイドゥ)による自動運転プロジェクト「Apollo」のサプライヤー「禾賽科技(Hesai Photonics Technology)」が先発しており、さらにファーウェイも参入してくる可能性がある。DJIのLiDARは低価格で購入の簡便さでも勝っているが、DJIがライバルの実力を見くびることはできない。

法人向け事業では植物保護の分野も大きな市場だ。早々に参入した「極飛科技(XAG、旧XAIRCRAFT)」は、アフターサービスや販売スタッフによるフォローアップでDJIをリードしているが、技術とチャネルでは明らかに後発のDJIが優勢だ。森林保護の問題を解決し、柑橘類の防除などへも活用できる上、故障率と障害物回避性能でも上を行く。

しかし、長年にわたりテクノロジー重視でカスタマイズサービスには比較的無頓着だったDJIのエンジニア思考は、法人向け市場参入の障壁になる可能性がある。一般消費者向けとは異なり、法人相手のビジネスを行うには、さまざまな業界の顧客にきめ細かなサービスを提供する専任チームを育成する必要がある。技術の優位性だけでは人気は獲得できないのだ。DJIの内部情報筋によると、管理能力の向上は同社の2020年における優先事項の1つであり、今後、業務プロセスや責任・権限はさらに集約され、より明確になるという。

農薬散布など法人向けに力を入れる(同)

一方、一般消費者市場で築いてきた強みも当然おろそかにはできない。2019年、DJIは定価3000元(約4万7000円)以下のミニドローンと、アクションカメラ「Osmo Action」をリリース。後者は人気ブランド「GoPro」の約半額で、コンシューマー向け製品は低価格路線を走り始めた。この価格戦略は今年も続くと予想される。

業界関係者によると、DJIの販売戦略は2021年には中国国内や欧州により重きを置くという。DJIは売上高のほとんどが実店舗での販売を占めており、今後も直営店や販売拠点を拡張してすそ野を広げる。今年は中国各地に直営店を開業し、店舗デザインやインタラクティブ体験の提供で試行を重ねる。

DJIのコンパクト「Mavic Mini」(同)

米IT専門調査会社IDCの予測では、2020年のドローン市場成長率は北米と欧州が10~20%増、中国全体では40~50%増、そのうち一般消費者向けは30~40%増になるという。消費者向け市場ではDJIにはライバルがいないため、コストをより適切に制御でき、最も多くの利益を手にするだろう。

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中国語原文はこちら(https://36kr.com/p/5286944)

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