フィリピン初のユニコーン レボリューション社に綻び

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コラム(テクノロジー)
2020/2/26 2:00
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フィリピン初のユニコーン企業(企業評価額が10億ドル=約1100億円を超える非上場企業)とされた不動産開発会社レボリューション・プレクラフテッドが勢いを失っているようだ。

マニラを本拠地にする同社は、カリスマ的なロビー・アントニオ最高経営責任者(CEO)が2015年に創業した。ザハ・ハディド氏やダニエル・リベスキンド氏、フィリップ・ジョンソン氏ら著名な建築家が手がけるモダンなプレハブ住宅という構想を掲げていた。

17年3月、レボリューション社の受注額は1.1億ドルだったと報じられた。18年には同社は中東からカリブ海まで世界中で70億ドル相当の契約を取り付けたとしていた。17年10月、シンガポールのベンチャーキャピタル(VC)、K2グローバルはレボリューション社に出資した。これを契機にレボリューション社はフィリピンで最初のユニコーン企業として躍り出た。

レボリューション・プレクラフテッドが掲げる高級でデザイン性の高いプレハブ住宅プロジェクトは実現するのだろうか(フィリピンの建設現場の様子)=ロイター

レボリューション・プレクラフテッドが掲げる高級でデザイン性の高いプレハブ住宅プロジェクトは実現するのだろうか(フィリピンの建設現場の様子)=ロイター

アントニオ氏は香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストの18年のインタビューでレボリューション社を「住宅のイケアにしたい」と語った。通常なら2年かかる住宅建設を60~90日程度で完成させるとしていた。

しかし栄光は長くは続かなかった。17年から18年の間に資金調達を再開し、東南アジアのVCから資金を得ようとしたことがわかっている。ディールストリートアジアが調べたところ、アントニオ氏は17年の時点で時価総額18億5000万ドル(約2000億円)のビジネスに対して100万ドルから300万ドルの少額の出資先を探していた。

10億ドル規模のビジネスで、そのような少額の資金調達をめざすのはめずらしい。K2グローバルも「会社の不透明性」を理由に再度の出資は断ったという。レボリューション社の評価は、すでに実施されたプロジェクトの成果ではなく、将来の売上高の見込みや結ばれた契約に基づいていた、と同社の資金調達に詳しい関係者は話す。この件についてレボリューション社は取材に応じていない。

少なくともフィリピンに関して言えば、レボリューション社の住宅建設は予定通りに進んではいない。18年11月に始まったフレーバースケープ・レイクショアの7億5000万ドルのプロジェクトもまったく工事が進んでいないようだ。パンパンガ州の140ヘクタールの敷地は湖のそばで、住宅地と商業施設でにぎわうはずだった。しかし、我々が訪ねた同地には建築部材が裸のまま置き去りにされ、工事関係者は一人もいなかった。

レボリューション社の元従業員がディールストリートアジアに語ったところによると技術とコストの両面で、アントニオ氏がかつて掲げた理想を実現するのは難しいという。

建設の遅れが成長を阻んでいるのか、売り上げの低迷がプロジェクトを遅らせているのかは定かではない。元従業員などによればレボリューション社はコスト削減のため強引な値切り交渉をしていたという。あるサプライヤーによれば、予定通りに進んでいない前提で支払いを滞納されていたという。サプライヤーや請負業者と長期的で円滑な関係が築きにくくなっていったようだ。

アントニオ氏は19年秋にレジデント・ホールディングスを立ち上げ、最高経営責任者(CEO)に就任した。ビジネスSNS「リンクトイン」上で、同社をレボリューションの親会社で、フィンテックやファッションなどを手がけると説明している。

「ディールストリートアジア」(英文)のサイトはこちら(https://www.dealstreetasia.com/)

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