イスラエルやり直し総選挙、首相の右派に追い風

2020/2/25 17:37
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【アンマン=飛田雅則】イスラエルで3月2日に2度目のやり直し総選挙が実施される。収賄罪などの初公判を控える右派陣営のネタニヤフ首相が続投できるかが焦点。トランプ米政権が1月に発表した中東和平案に、前回総選挙で第1党だった中道野党連合「青と白」のガンツ元軍参謀総長が支持を表明したことでアラブ系政党の離反を招くなど、和平案が右派の追い風になっている。

イスラエルでは3月2日に選挙が迫り街にガンツ氏((左))とネタニヤフ氏のポスターが貼られている=AP

現地の有力テレビ局チャンネル12が23日発表した世論調査によれば、一院制の国会(定数120)でネタニヤフ氏が率いる与党リクードが34議席と、「青と白」を1議席上回り第1党を確保する。収賄罪などで起訴され、3月に初公判を控えるネタニヤフ氏への批判票が増えていないのは「これまでの主張に沿った和平案を米国から引き出したため」とみられている。

イスラエルは1948年の建国以来、単独で過半数を獲得した政党は存在せず、複数政党が連立を組み政権を担ってきた。19年9月の前回の総選挙後、大統領が組閣を指示したネタニヤフ氏とガンツ氏ともに連立協議に失敗した。

今回のやり直し選も前回同様、ネタニヤフ氏の右派・宗教勢力と、ガンツ氏の中道・左派勢力が拮抗し、いずれも過半数の61議席に届かないとみられている。選挙後の連立協議は難航必至だ。

ネタニヤフ氏が首相続投しても、「青と白」とリクードとの大連立でガンツ氏が首相になっても、対パレスチナ強硬姿勢に変わりはなく、緊張が高まる可能性が高い。パレスチナのシュタイエ首相は「ネタニヤフ氏とガンツ氏に違いはない」と語る。米国の和平案は「早く葬られるべきだ」とも批判している。

トランプ政権の和平案はネタニヤフ氏、ガンツ氏ともに支持を表明しているが、ガンツ氏を中心とする野党陣営は分裂している。ユダヤ系のガンツ氏を首相候補として推してきたアラブ系政党の代表は2月11日、現地メディアに「ガンツ氏がイスラエルによるユダヤ人入植地の併合を支持するならば、もう協力はしない」と語った。

これに対し、ガンツ氏は15日、「イデオロギーで大きな違いがあるアラブ政党とは組まない」とし、「ユダヤ系で民主的な政党と幅広く協力する」と語った。ネタニヤフ氏の退陣を条件にリクードと大連立を組む可能性を強調した。

ネタニヤフ氏はパレスチナに強硬姿勢に出ることで支持固めを急ぐ。トランプ政権からイスラエル寄りの和平案を引き出したことを外交実績としてアピールしており、東エルサレムのユダヤ人入植地で住宅数千戸の建設も許可した。東エルサレムはパレスチナ側が将来の国家樹立の際に首都と考えている場所だ。

イスラエル軍が23日にパレスチナ自治区ガザの過激派の戦闘員を銃撃したことで、双方の間で攻撃の応酬が続いている。ネタニヤフ氏は24日、ガザからのロケット弾の発射が続けば、厳しい措置に出ると警告した。安全保障が国民の最大の関心事だけに有権者に強硬姿勢をアピールする構えだ。

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