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ウッズが警鐘 「ボールが飛びすぎる」ことの問題点

ゴルフジャーナリスト 地平達郎

久しぶりに松山英樹が優勝争いにからんだ先週の米PGAツアー、メキシコ選手権。標高2240メートルのメキシコシティでは、平地より約20%もボールが飛ぶとあって、トッププロもクラブ選択に四苦八苦。パー3の230ヤードを7番アイアンでグリーンオーバーでは、頭を抱えたくもなる。

この大会は特別だとしても、近ごろのプロゴルファーの飛距離はすさまじい。一般男性アマチュアのドライバーの飛距離は200~230ヤード(ナイスショットしての話)といわれるが、今シーズンの米ツアーでは平均飛距離300ヤード超えが87人もいる。

はるか先まで飛ぶボールは、ショーのようで見ていて楽しいが、「ボールが飛びすぎる」と、これに待ったをかけたのが、昨年のマスターズ・トーナメントで奇跡的な復活優勝を果たしたタイガー・ウッズだ。

ウッズはこれまでも飛距離が伸びすぎることに批判的だったが、今回はゴルフ規則の総本山とされる英国R&Aと米国USGAが、ボールの飛距離が伸び続けていることへの危機感を示したリポートを発表したことでトーンアップした。

「自分が現役でいる間は無理だろうけれど」と、動きの遅さにあきらめつつ、以下のようなボールが飛びすぎる弊害を指摘した。

かつては6700ヤードほどだったトーナメント開催コースの総距離が、今では7500ヤードになり、さらに将来は8000ヤードが必要になってくる。となるとコース改造が必要になるが、その土地がない。無理に工事をするとカネがかかり、それがアマチュアゴルファーのプレー代に跳ね返ってくる。

さらに、バンカーや池などが無用のものになるか造り直しが必要となり、コースのおもむきまで変わってしまう。

そして何より、アマチュアゴルファーが飛距離についていけなくなり、ゴルフに興味をなくしてしまうことにつながる危機がすぐそこに来ているというのだ。

ニクラウスも飛距離を問題視

「ボールが飛びすぎる」と公言するのはウッズが初めてではない。帝王ジャック・ニクラウスは20年以上も前、クラブやボールが進化を始めた頃から「手を打つべきだ」と言ってきた。ウッズ同様、プロの飛距離問題を放置することへの警鐘である。

ボールの飛距離が伸び続ける要素は、クラブとボールの進化が大きい。そして、その恩恵を最大限に受けるのが、毎日のようにプレーし、肉体トレーニングに励むプロである。月に1、2回のラウンドがせいぜいの一般アマチュアはとても追いつけない。その差は大きくなる一方だ。

ウッズはアマとプロが使うゴルフ用具を別のものにすることを提案している=USA TODAY

ではどうすればいいか。ニクラウスもウッズも言うのは、アマチュアとプロが使うゴルフ用具を別のものにする案である。アマの規則はそのままにし、プロやトップアマがトーナメントで使う場合は別の規則のものにする。

高校まで、あるいは草野球は金属バットで、プロなどその上は木製バット、ボールも軟式球、準硬式球、硬式球と、レベルによって使い分ける野球と似た考え方である。

そしてそれはボールということでも2人の意見は一致している。クラブの進化を止めるのは難しいが、ボールなら比較的簡単である。今よりもサイズをひと回り大きくするか、サイズはそのままで重量を軽くすれば、ともに空気抵抗が大きくなり飛距離は落ちる。

ウッズは、プロの飛距離を今より20%減らすべきだという。実現すれば、ドライバーが現在の300ヤードから240ヤードになる。われわれよりちょっと飛ぶ中でどんな技を駆使するか、タイガーではないが、生きている間に見てみたい大改革である。

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