iPhone向け海外用eSIM、ソラコムが発売
KDDI傘下のソラコム(東京・世田谷)は、米アップルのスマートフォン「iPhone」とタブレット端末「iPad」向けに、物理的なSIMカードが要らない「eSIM」を使った海外用データ通信サービス「Soracom Mobile(ソラコム・モバイル)」を提供すると21日発表した。同社がパートナー企業などを介さず、一般消費者向けサービスを直接手掛けるのは今回が初めて。
サービスメニューは「ヨーロッパプラン」「北米プラン」「オセアニアプラン」に分かれており、合計42カ国でデータ通信サービスを利用可能。音声通話とショートメッセージサービス(SMS)、日本での利用はできない。料金はいずれも30日分で、ヨーロッパプランは1ギガバイトで6.99米ドルから、北米プランとオセアニアプランは1ギガバイトで12.99米ドルから。対応端末はeSIMに対応するiPhoneとiPad。
同サービスの特徴として玉川憲社長は「eSIMの購入と設定時に端末の設定画面に移る必要がなく、専用アプリ内で一連の操作が完結する。同様の使い勝手は競合他社でも数社しか実現していない。当社にとってもSIMカードの発行や送付の費用が不要になるメリットがある」点を挙げている。
BtoC進出の狙い
ソラコムは消費者向け(BtoC)事業を手掛ける顧客企業向け(BtoB)に通信サービスを提供する、いわゆるBtoBtoCモデルを展開している。その一方でソラコム自身もBtoC事業を展開する狙いについて玉川社長は次のように話す。
「eSIM市場はまだ赤子のような段階。当社の顧客企業やパートナー企業がBtoCでeSIMを展開することを支援したいが、それだけでは市場が広がらないと考え、当社も展開することにした。自社でサービスを展開することで、BtoBtoC向けにどのようなサービス基盤を用意する必要があるかといったノウハウも蓄積できる」
当面は大規模なプロモーションを展開せず、eSIMなどの知識を持つ消費者向けに絞って事業展開する。
(日経クロステック/日経コンピュータ 金子寛人)
[日経クロステック 2020年2月21日掲載]
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