マネー萎縮が加速、金利は過去最低迫る 米景気に警戒感

2020/2/25 6:29 (2020/2/25 7:04更新)
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【ニューヨーク=後藤達也】新型肺炎の拡大でマネーの萎縮が加速している。24日は欧州株の大幅安に続き、ダウ工業株30種平均も1031ドル安と急落。米長期金利も史上最低に迫った。感染がイタリアなどに拡散し、事態の収拾が見えづらくなったためだ。供給網の寸断が長期化し、米景気への警戒も強まり始めた。米国株は12日に史上最高値を付けたばかりで調整が深まる恐れもある。

「各国の肺炎の隔離対応が失敗に終わることを警戒し始めた」(バークレイズの米国チーフエコノミスト、マイケル・ゲイペン氏)。日本や韓国での感染急拡大に続き、イタリアでは感染者が200人を超え、イランでも広がっている。

ダウ平均の終値は1031ドル安の2万7960ドルと過去3番目の下げ幅を記録した。アップルなど主力IT(情報技術)株はそろって崩れ、全面安の展開となった。24日はアジア株、欧州株も急落しており、市場の動揺は地球を一周した。

景気への警戒は長期金利により強く表れている。「景気の体温」とも言われる米10年物国債の利回りは1.35%まで下がり(価格は上昇)、2016年に付けた過去最低(1.32%)に迫った。景気後退の予兆とされる「逆イールド」(長短金利の逆転)も深まった。市場は米連邦準備理事会(FRB)が3月にも利下げを再開するとの思惑も浮上している。

23日、米ゴールドマン・サックスは1~3月期の米成長率見通しを1.4%から1.2%へと引き下げた。肺炎の流行で中国への輸出や中国人の対米観光などが減るためだ。4月以降は米景気の下押しははげ落ちるとみるが、肺炎が収束していくことが前提だ。チーフエコノミストのヤン・ハチウス氏は「リスクは下方向に明確に偏っている」と指摘する。

国際通貨基金(IMF)も22日、中国の20年の成長率見通しを6.0%から5.6%へと引き下げた。これも4月以降は中国経済が平時に戻る前提だ。バークレイズのゲイペン氏は「感染が大流行へと発展すれば、輸送や観光の停止が長期化し、世界経済への打撃は深刻になる」と警戒を強める。

米国では先週までは楽観論がやや優勢だった。米国での感染者が少なかったうえ、個人消費など内需は堅調を保っていたからだ。ダウ平均は12日に史上最高値を更新していた。その分、足元の反動がより大きくなっている面がある。

米国株はアップルなど大手IT企業の収益拡大期待に加え、大量の自社株買いという需給面の追い風も加わり、この1年間で大きく上昇した。株価が1株利益の何倍まで買われているかを示すPER(株価収益率)は19倍程度と過去20年で最高の水準に高まっていた。これまで株高が富裕層の消費を支えた効果も大きい分、株価の調整が長引けば米個人消費にも影を落としかねない。

世界的な肺炎感染に歯止めがかかるかが今後の相場の方向性を決める。中国国内では新たな感染が鈍るとともに回復者が増えている。気温の上昇に伴い、流行が和らぐとの期待も残る。ただ、肺炎の行方は一般的な経済予測モデルで対処しづらい「未知のリスク」だ。事態が明確に好転しない限りは市場の警戒は解けないおそれがある。

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