マハティール首相が辞任 マレーシア国王が辞表受理
【クアラルンプール=中野貴司】マレーシア政府は24日、マハティール首相がアブドラ国王に辞表を提出し、受理されたと発表した。マレーシアでは与党連合内の内部対立が深刻になっており、混乱の責任を取るとともに、事態の打開を目指す。

国王は同日、次の首相が決まるまでマハティール氏を暫定首相として、引き続き職務にあたらせることも決めた。議会制民主主義のマレーシアでは、下院議員の過半数の支持を得た議員が首相に就任する。
マハティール氏が率いてきたマレーシア統一プリブミ党(PPBM)の議員らは24日、与党連合から離脱すると発表し、与党連合は過半数を確保できなくなった。通算で24年間首相を務めてきた94歳のマハティール氏の突然の辞任で、国内政治の混乱が長引く可能性がある。
与党連合内ではマハティール氏の首相継続を求める勢力と、アンワル元副首相への早期の首相禅譲を求める勢力との対立が激化していた。マハティール氏を支持する議員グループは23日、有力野党を取り込み、新たな連立政権の設立に動いた。蚊帳の外に置かれたアンワル氏はこうした動きに強く反発し、与党連合の瓦解が避けられなくなった。マハティール氏が早々に辞任を決断したのは、いずれのグループにも肩入れせず、沈静化を促す狙いがあるとみられる。
今後の焦点は、どの勢力が過半数を確保し、次の首相選びで主導権を握るかだ。与党連合を離脱したPPBMの議員らは、野党を巻き込んだ政界再編を目指しており、与野党の枠を超えた引き抜きが激しくなる見通しだ。
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