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米、インドにも大量輸入要求 トランプ氏が初の訪印

【ワシントン=河浪武史】トランプ米大統領は24日から2日間の日程で、初めてインドを訪問する。同氏はインドに米国からエネルギーや武器などを大量購入するよう求めており、モディ首相との会談でも貿易問題を集中協議する。米国はインド製品の関税優遇措置を打ち切って圧力をかけるが、インド側は市場開放に後ろ向きだ。モディ政権は中ロとも関係強化に動いて米国を翻弄する。

トランプ氏は24日にモディ首相の地元である西部グジャラート州をまず訪問する。「ナマステ・トランプ」と題したイベントで、モディ氏とともに演説する予定だ。25日には首都ニューデリーで首脳会談を開く。

ホワイトハウス高官は「首脳会談ではエネルギーと経済の関係強化が主題になる」と明かす。インドは原油の調達を中東に頼ってきたが、米国はイランへの経済制裁を強めつつ、米国産原油・液化天然ガス(LNG)の購入をインドにも求めている。首脳会談ではインド側が米国からのエネルギー調達を大幅に増やすと表明する見通しだ。

トランプ政権は2019年6月、インドにも適用していた「一般特恵関税制度(GSP)」と呼ぶ発展途上国向けの関税優遇制度を打ち切った。ホワイトハウス高官は「インド政府が同国市場のあらゆる分野で外資規制を放置していることの報復だ」と話す。インドはGSPの適用再開を求めており、モディ政権がどこまで市場開放で譲歩するかも焦点となる。

トランプ氏は「インドの高関税は看過できない」と繰り返し批判してきたが、モディ政権はその圧力をものともせず、20年に入ってからも電気自動車や携帯電話部品などの関税引き上げを発表。世界貿易機関(WTO)の分析ではインドの平均関税率は17%と日本や欧州連合(EU)の4~5%台に比べ大幅に高い。

米産業界はインド市場の取りこぼしを懸念する。インドは人口13億人超の巨大市場だが、低所得層が多い。スマートフォン市場は中国勢が圧倒するなど米国勢は出遅れが目立つ。米当局は次世代通信「5G」で中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の締め出しを強めるが、インドが同社製品を採用すれば、世界の勢力図は瞬く間に中国有利に傾く。

トランプ大統領は「インドとはいずれ大きなディール(取引)をすることになる」と繰り返し主張し、貿易交渉入りを求めてきた。ただ、米印交渉筋は「今回は協議が進展していない」と明かす。米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表も、現時点で訪印団に名を連ねていない。

米政権は18年に在日米軍を抱える太平洋軍を「インド太平洋軍」と改名するなど、安全保障面では「中国包囲網」の一環でインドの取り込みを急いでいた。ただ、2国間の貿易赤字にばかり執着するトランプ氏にとって、通商面ではインドが盲点だった。米国からみたモノの貿易赤字額は年233億ドルにすぎず、その規模は中国(3456億ドル)や日本(690億ドル)と比べはるかに小さい。そのため、トランプ氏の訪印は就任4年目の今回までずれ込んだ。

その間、したたかに動いてきたのはモディ首相だ。カシミール地方の領有権問題で対立する中国とも関係強化に動き、習近平(シー・ジンピン)国家主席とは頻繁に直接会談してきた。インドはロシア製地対空ミサイルシステムの導入を計画するなど、プーチン政権とも軍事・エネルギー面で接近している。

対インド外交で出遅れ感のあるトランプ氏。全米商工会議所のインド担当者は「何年も両国に貿易協定の締結を働きかけてきたが、今回も実現しなければ失望だ」と話す。ただ、トランプ氏は訪印直前まで大統領選の党員集会があるネバダ州にとどまった。記者団には「インドとの大型のディールは大統領選後かもしれない」とも話し、集中力を欠いたままだ。

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