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喜び・悔しさ味わう八村 チーム、プレーオフ圏内に

スポーツライター 杉浦大介

「プレーオフ(進出)を決めるためには大事な一戦。しっかりと勝っていかなければいけないなと思います」

23日の米プロバスケットボールNBA、シカゴ・ブルズ戦を前に、ワシントン・ウィザーズの八村塁はそんな意気込みを述べていた。この言葉に代表されるように、NBAでの1年目も終盤に近づき、八村の口から「プレーオフ」が目標として語られることが増えている。

鼠径(そけい)部の打撲で約1カ月半にわたって戦線離脱を余儀なくされた八村だったが、3日に復帰後の6戦でも平均14.2得点、6.8リバウンドと順調。歩調を合わせるように、今季低迷が続いたチームも少しずつ調子を上げている。

八村は3日の戦線復帰後も好調を保つ=共同

ウィザーズは1月下旬から前半戦終了までの12試合で7勝を挙げ、特に2月16日のオールスター戦前は7戦中5勝と好調だった。依然として20勝34敗と大きく負け越してはいるものの、所属するイースタン・カンファレンスは7位以下の勝率が大きく落ちることもあって、プレーオフ圏内の8位まで3ゲーム差と射程圏内につけている。八村をはじめとする主力のケガ人が続々と復帰してきただけに、今後もポストシーズン進出の希望が持てる位置にとどまることは可能かもしれない。

もともと今季のウィザーズは「育成」に主眼を置いており、プレーオフが目標ではなかった。カンファレンス8位でぎりぎり出場できたとしても、上位進出は夢のまた夢。勝負をかけるべき時は、あくまでエースのジョン・ウォールが復帰してくる来シーズン以降というのは周知の事実である。

ポストシーズンに出ない方がドラフトで上位指名の可能性が高まるというNBAのシステムもあって、「今季はむしろ8位以内に入らない方がよい」という見方すらある。

「(プレーオフのことは)考えていないよ。それよりも向上し、成長することに集中していかなければいけない」

ウィザーズのスコット・ブルックス・ヘッドコーチ(HC)も、オールスター前にはそう述べていた。ウィザーズは残りのスケジュールが厳しいこともあり、現実的にプレーオフ進出は難しいだろう。

もっとも、そういった様々な事情を考慮した上でも、ここまで「圏内」に迫ってきたのであれば、現場の選手たちが全力でポストシーズンを目指すことに意味がないとは思えない。大きな目標を掲げ、緊張感を持ってプレーすることは何よりの勉強になる。そんな経験こそが、22歳の八村をはじめ、若い選手を育成する最善の手段にもなるに違いない。

プレーオフ進出という大きな目標を掲げてプレーすることが八村(中央)をはじめウィザーズの選手にとって何よりの勉強になる=共同

「一戦一戦がすごい大事になってくると感じた。今日の試合も勝たなければいけないのに負けてしまった。(みんな)すごく悔しがっているが、そんな暇もないので、しっかり切り替えていかなければいけないと思います」

一時は16点のリードをつけながら、終盤に手痛い逆転負けを喫した21日のクリーブランド・キャバリアーズ戦後、八村は無念を隠しきれない表情だった。こんな気持ちが今後への糧にもなるのだろう。今季終盤に本気で勝ちにいき、チーム一丸となることの喜びと、惜しくも届かない悔しさを味わっておくことは、NBA選手としての八村の将来に必ず生きてくるはずである。

(記録は22日現在)

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