中国、家具の配送提案 データ分析駆使しコスト圧縮

36Kr
スタートアップGlobe
2020/2/25 2:00
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家具の配送サービスで見出したビジネスチャンス

物流サービスの問題はネット通販にとって大きなウイークポイントになっている。市場調査機関の統計によると、オンラインショッピングに寄せられる苦情は、パッケージが破損していた、商品が紛失した、指定日時に届かない、サービス態度が悪いなど、70%以上が物流関連だ。物流関連のトラブルはカスタマーエクスペリエンスに悪い影響を与えている。

商品の重量や送り先の地域などを一括で管理・分析して適切な配送を行う(一智通提供)

商品の重量や送り先の地域などを一括で管理・分析して適切な配送を行う(一智通提供)

中国国内の大手物流会社や家具メーカーで10年以上の業務経験を積んだ袁新生氏は、家具配送という分野に存在するビジネスチャンスにいち早く気づいた。判断の根拠は3つあったという。

まず、家具も生鮮食品も特殊な配送であること。家具は大きくて、形もさまざまだ。さらに壊れやすいため、配送そのものが難しい。家具市場の規模は600億元(約9300億円)にまで急成長しているにもかかわらず、マーケットが分散しているため、新しい販売チャネルに対応する専門的な物流ソリューションが未成熟なままだ。ネット注文の80%以上は依然として、売り手自身が、仲介業者、フォーワーダー、サードパーティ企業、配送業者など小規模企業を通じて、物流の手配を行っている。問題が起きた時の責任の所在を確定するのは難しく、オフラインでの問題解決は依然として販売代理店 頼みとなっている。

それから、オムニチャネルのホームファッションECマーケットは3600億元(約5兆6000億円)規模に達したが、家具の配送コストは高止まりで、売り手の利益率を圧迫していること。

最後に、消耗品、電化製品などと比べると、家具は設置やアフターサービスでクレームが出る可能性が高く、大いに改善の余地があること。

2014年、袁新生氏は「一智通(Yizhitong)」を設立し、ネット通販など新興デジタルサプライチェーンの配送サービス市場に、データ駆動型ホームファッション配送サービスプラットフォームとして参入した。5年後の現在、一智通はサービス対象を家具ECから、内装工事、内装済住宅デベロッパーにまで広げ、供給元保管、配送商品の設置、家具の買い取りやリサイクル販売などのサービスを提供し、中国国内都市600以上と3000近くの県・区(中国の市の下にある行政区分)をカバーしている。

一智通はこれまでに「京東物流(JD Logistics)」、「熊猫資本(Panda Capital)」、「清控銀杏(THC Ventures)」、「景林投資(Greenwoods Investment))」、「元禾原点(Oriza Horizon)」などから資金を調達してきた。

一智通が提供するソリューションとは

一智通は、中国国内のホームファッション産業基地に延べ面積数十万平米の倉庫を建設した。「弊社の倉庫は保管と仕分け、2つの機能を兼ね備えている」と、袁新生氏は語る。配送のプロセスでは、いかにしてコストを最小限に抑えるかがカギだ。一智通が取った方法は、「小規模専門業者」との提携だ。既存の輸送能力を活用し、市場の分散によって高くなっているコストを低減する。具体的に言うと、一智通が評価システムに基づいて専門業者を評価したのち、同システムを通じて業者に発注、配送物の体積に基づいて運送費を支払うという方式だ。

家具の配送や取り付けのほか、破損品を修理したリサイクル販売なども手掛ける(一智通提供)

家具の配送や取り付けのほか、破損品を修理したリサイクル販売なども手掛ける(一智通提供)

家具設置においては、注文数が比較的多い20の一級都市や省都では、一智通が直接一元的にスマート管理、配送業者への割り振りを行う。注文数が中程度の都市では、自前の倉庫を持ち、設置サービスも行っている業者に、発注管理システムを提供した上で委託する。注文数が少ない地域では、アプリを通じて地元の家具設置業者が受注する仕組みでアウトソーシングしている。

袁新生氏によると、家具ネット通販のもう1つの大きな課題は、高い返品コストだという。今のところ家具業界の返品率は約3%だが、配送コストが売り上げの15~20%であるのに対し、返品時の輸送コストは売り上げの25%以上かかり、かつ輸送時による損傷リスクは避けられないため、返品された家具の価値は下がってしまう。

この事態に対し一智通は「智悠零返」と呼ばれる付加価値サービスをリリースした。30%または40%の価格で返品または破損した家具を購入し、点検修理やリフォームをしたのち、プラットフォームを通じて配達先の個人や家具販売業者、配送設置業者など顧客リストに載っている人たちへ、中古品として販売するのだ。袁新生氏によると、一智通には既にこのような顧客が数千人いるという。これらのチャネルでは、オンライン / オフラインのソーシャルサークルを通じて地元で家具を販売し、配送、設置、アフターサービスなどは一智通が管理する。

袁新生氏は、ホームファッション販売は今後ますますデジタル化が進み、より多様化すると分析する。デザイン、オンライン内装、内装済住宅デベロッパーおよび各種ECプラットフォームなどの新しいチャネルが次から次へと登場しており、こうした企業も一智通の新しい顧客となっている。一智通は、さらに内装済住宅デベロッパー向けの一括設置サービスも開始した。

「36Kr ジャパン」のサイトはこちら(https://36kr.jp/)

中国語原文はこちら(https://36kr.com/p/5271632)

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