豪雨復興・防災、IT活用に手厚く 中国5県20年度予算案

2020/2/21 20:30
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中国5県の2020年度予算案が出そろった。広島県と岡山県は西日本豪雨からの復旧・復興に継続して力を入れることから、19年度に引き続き大型の予算編成となった。IT(情報技術)活用や定住促進などの施策を通じて、地域活力の底上げをしようと各県が知恵を絞っている。

広島県ではドローンやセンサーを活用したレモン栽培の実証実験などが進められている

BCP策定サポート

西日本豪雨の復興関連では河川や道路の整備といった事業が継続するなか、ソフト面の事業を拡充する動きも目立つ。

広島県は災害時における企業の事業継続計画(BCP)の策定支援に2600万円を充てる。予算規模は19年度と比べて約2倍。策定した計画の有効性を検証する演習も手掛ける方針だ。

コロナウイルスの流行を背景に、感染症拡大に伴う事業リスクへの関心も高まりつつある。県は「自然災害のみならず、あらゆるリスクに対して柔軟に対応できるよう企業にBCP策定を促す」と話す。

岡山県は大規模災害の際に県と市町村の合同支援チーム「チームおかやま」を被災地へ速やかに編成・派遣できるよう540万円を計上。装備品の準備などに加え、罹災(りさい)証明書の発行といった被災自治体の対応業務をサポートする「災害マネジメント総括支援員」の研修経費も盛り込んだ。

専門家の指導による自主防災組織の立ち上げ支援や福祉職員を対象とした研修など、地域防災力の強化に向けても2600万円を充てる。

■中小企業の背中押す

山口県では次世代通信規格「5G」や人工知能(AI)など先端技術の活用を重点推進項目として掲げる。導入に慎重な県内中小企業の背中を押すため、AIや5Gを導入して製造現場の生産性を高めたモデル工場を4件程度構築し、県内企業への普及を目指す。

勤怠管理など定型作業を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)についても複数のモデル企業で実証実験を行い、普及に向けた課題を整理する方針だ。

広島県ではAIやあらゆるモノがネットにつながるIoT技術などで地域課題解決を目指す「ひろしまサンドボックス」が最終年度を迎える。センサーやドローンを活用したカキ養殖やレモン栽培など主要9事業に4億5500万円を充てる。成果はもとより実証実験で培ったノウハウを他の産業にも広く浸透させられるかが焦点となる。

1200万円を計上して「IoT×ものづくり」推進事業を拡充するのは岡山県。中小企業を対象に、IoTの導入支援へ専門家(サポーター)を配置する。企業への訪問や研修会の開催などを通じて、生産性向上や人材の確保・育成につなげてもらう狙いだ。

県内の企業と大学との共同研究講座の開設増加に3000万円を充てる。連携を仲介する「企業と大学との共同研究センター」を経由して、IoTやAIを活用した電動アシストウエアなど新技術の開発を促す。

■外国人材獲得へ補助

山口県は外国人材の受け入れを後押しするため、新たにコーディネーターが県内企業を訪問して求人を掘り起こす。受け入れを検討している企業向けにはセミナーを開催する。介護施設が研修中の留学生に給付する奨学金を補助する制度を設け、外国人介護人材の確保を支援する。

外国人住民が生活に必要な日本語を学習できるように、日本語教室の設立支援や日本語教育人材の養成など地域における日本語教育の環境整備にも取り組む方針だ。

広島県は企業誘致に向け、本社機能を県内に移転した企業に対して、社員とその家族にかかる転居費用などを助成する。市中心部でのオフィスビル建設ラッシュも追い風に、来年度は30件の誘致を目指す。

鳥取、島根は人口減対策に重点

山陰両県は人口の減少に歯止めをきかせようと対策を打つ。島根県の推計人口は約67万人(1月1日時点)で、90万人を超えていた1950年代から大きく減少している。人口減対策には過去最高となる763億円を充て、子育て支援のため市町村や民間が小学生を預かる放課後児童クラブを充実させる。

鳥取県の人口も55万人強(同)とピークの1988年から約1割減となっている。同県では「STOP若者流出プロジェクト」と銘打つ事業に3800万円を計上。地元出身の若者らに就活情報などを提供するために県独自に開発したスマートフォンアプリの利用を促す事業などを盛り込んだ。

移住促進策としては、将来の移住につながるような関係交流人口の増加を狙い、休暇中に働く時間を設ける「ワーケーション」の誘致事業に1200万円を充てる。予算規模は19年度の約10倍となる。

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