自工会労務委員長、労使交渉「中国肺炎が一時金に影響も」

2020/2/21 16:12
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日本自動車工業会の尾高和浩労務委員長(ホンダ執行役員)は21日、日本経済新聞などの取材に対して、2020年春の自動車業界の賃上げ交渉に関する情勢について「19年より厳しい状況にある」との認識を示した。中国で感染拡大が続く肺炎問題に関しては「事業面の影響は現時点でわからない」としつつ、事態が長引けば議論にも影響が及ぶとの可能性を示唆した。

自工会の尾高和浩労務委員長(21日のインタビュー)

尾高氏は自工会で賃金や働き方などの分野を担当する。19年の中国の新車販売台数が2年連続でマイナスとなり、底堅く推移していたタイやインド市場も振るわず、各社とも業績面で苦戦している。尾高氏は世界の自動車市場の動向について、「厳しい状況にある」と述べた

自動車業界は100年に1度ともいわれる転換期を迎えて、自動運転などの「CASE」、移動サービス「MaaS」への対応を迫られる。設備投資や研究開発向けの先行負担も年々増している。ただ、こうした中でも「将来の自動車業界のために『人への投資』は一番大切だ」と指摘した。実際、各社とも交渉に向けて、従業員のやる気向上や定着率を高める施策を盛り込んだ。

今後の波乱要因となりそうなのが中国で発生した新型肺炎の感染拡大だ。日本メーカーによって工場を持つ中国の集積エリアが違うこともあり、「現時点でどのくらい影響が出るかわからない」としつつ、世界のサプライチェーン(供給網)の中で中国の役割が大きくなっていることを説明。「問題が長引けば長引くほど影響が出る」と懸念する。

労使交渉でもサプライチェーンにどれほど支障が出るかが注目点になるとした。「今回のベースアップ(ベア)で影響が出ないだろう」としつつ、「影響が出やすいのは一時金」と指摘した。

自動車総連はベアの統一要求額を掲げない方針を示している。こうした流れが各社にも広がっている。従来はベアの金額だけに焦点が当たっていたが、賃金の水準の高さや働き方などを踏まえた議論に軸足を移している。尾高氏はこうした動きについて、「近年の労使交渉は良い方向に向かっている」と歓迎した。

これまで日本では新卒一括採用や年功序列型の賃金体系が一般的だった。自動車業界でも長年の仕組みを引き継いできたが、足元では中途採用が増え、短期雇用であっても高い給与で処遇する企業が目立つ。尾高氏は「時代が変わる中で見直しは必要」とした。優秀なIT(情報技術)人材などを獲得するうえでも、労使が一体となって魅力がある働き方を模索する必要がありそうだ。(原欣宏)

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