イベント割れる決断 就活説明会中止・Jリーグ予定通り

2020/2/20 22:23
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新型コロナウイルスの感染拡大の影響が暮らしやビジネスに及んでいる。就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアは20日、3月に開催予定だった合同企業説明会の中止を決めた。これから本番を迎える春季労使交渉にも影を落とす。厚生労働省は多くの人が集まるイベントについて一律の自粛は求めないとしているが、苦渋の選択の末の自粛・延期ムードが一気に広がってきた。

■就活説明会、数万人参加できず

リクルートキャリアは2021年春に就職する学生向けの合同企業説明会を全国の44都道府県で開催する予定だった。「説明会中止により累計で3万~5万人の学生と5千社に影響が出る」と同社はみている。

説明会では企業が自社を紹介するためのブースを出展する。多くの学生と人事担当者が集まるため、予防措置を講じても感染リスクは防ぎきれないと判断した。日本商工会議所の三村明夫会頭は20日の記者会見で、「就職活動の日程が後ろにずれるのではないかと心配している」と述べた。

個別企業の採用活動にも影響が出始めている。ソニーは15、16日に都内で予定していた新卒採用者向けイベントを中止した。参加予定だった学生には2月中にも新卒採用サイトを通じて当日予定していたプレゼンテーションの内容を動画で配信する予定だ。三菱UFJ銀行は3月から始める新卒採用活動について、東京と大阪で開く会社説明会の開催を当面見送る。

大学ではこの春の卒業式や入学式に余波が広がりそうだ。立命館アジア太平洋大学(大分県別府市、APU)は20日、3月の卒業式と4月の入学式を中止すると発表した。同大学が入学・卒業の式典の実施を見送るのは開学以来初めて。式典には例年、約2000人が出席しているという。出口治明学長は「健康が第一と考え大事をとる」とコメントした。

厚労省は20日、多くの人が集まる大規模イベントの開催について、主催者に対し開催の必要性を検討するよう求めるメッセージを発表した。記者会見した加藤勝信厚労相は「感染拡大を防ぐには今が重要な時期。国民の協力をお願いする」と述べた。同省は「政府として一律の自粛要請を行うものではない」とも説明しているが、イベントの中止や延期の動きは広がっている。

■春季労使交渉、集中回答日影響も

連合は20日の会見で、3月3日に予定していた春季労使交渉の中央集会を中止すると発表した。1000人以上の組合員が集まる最大規模の集会だが、新型コロナウイルスの影響を考慮し、街頭アピールやSNS(交流サイト)での情報発信に切り替える。

春季労使交渉は3月11日の集中回答日に向けて個別の労組が交渉を進めている。新型肺炎の感染の広がりによってはこのスケジュールが影響を受ける恐れもある。

スポーツなどのイベントでは集まる人を絞り込む動きが相次ぐ。東京五輪女子代表の残り1枠を争う最終選考レース、3月8日の名古屋ウィメンズマラソン(ナゴヤドーム発着)は、一般参加者抜きで開催されることになった。主催者が20日に発表した。招待選手や3時間以内の自己記録を持つ選手による「エリートの部」のみで争われる。ウイルスの感染拡大を受け、既に男子の五輪選考会を兼ねた3月1日の東京マラソンも、一般ランナーの参加中止が決まっている。

■Jリーグ、予定通り開催

一方で、中止や延期にまで踏み込まないケースもある。21日にJ1の1試合で開幕するサッカーのJリーグは、J1の9試合など23日までのカードを予定通り実施する。開幕戦の湘南―浦和戦では、全てのトイレや入場ゲートに消毒液を配備。事前にマスク着用や手洗い、うがいの励行などを呼びかけている。Jリーグの村井満チェアマンは「できる限りの努力をして自らの役割を果たしたい」と話した。

シネマコンプレックス(複合映画館)を運営する松竹マルチプレックスシアターズも休業や営業時間の変更をしていない。担当者は「厚労省など公的機関からの勧告があれば営業時間短縮や休業の一つの目安になる」と話す。

政治日程にも影響が及んでいる。自民党は20日、3月8日に開く予定の党大会を期限を定めずに延期する調整に入った。21日にも正式に決める。

党大会の延期は1995年1月17日の阪神大震災を受け、同年1月の開催予定を3月に延ばして以来となる。結党した55年までさかのぼっても延期するのは異例という。東日本大震災が起こった2011年は発生した3月11日より前の1月に党大会を開いていた。

会場は例年と同じ都内の「グランドプリンスホテル新高輪」の大宴会場を想定していた。毎年、全国の党員や地方議員ら約3000人が参加しており、今年も同規模の出席者を見込んでいた。

党内には5~6月ごろと期限を決めて延期する案もあったが、肺炎の感染拡大が収束に向かってから開催の時期や形式を再検討することにした。開催自体を取りやめれば不安が一段と広がりかねないとみて、中止ではなく延期を決めた。

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