川重、初の液化水素船10月完成 今年度に実証事業

川崎重工業は20日、報道陣やアナリスト向けに技術説明会を開いた。建造を進めている世界初の液化水素運搬船について、10月にも完成すると明らかにした。オーストラリアから水素を運搬する実証事業は2020年度中に始まる予定で、水素サプライチェーンの構築に向けた動きが加速しそうだ。
川重は19年12月に液化水素運搬船を神戸工場で進水させた。液化水素を格納するタンクの建造工事を実施中で、船への搭載が3月から始まる予定だという。西村元彦水素チェーン開発センター長は「建造は順調に進んでいる」と述べた。
液化水素のサプライチェーンの商用化は2030年をめざしている。西村氏は「20年代半ばの商用化に向けた実証をするため、あと2年ほどで金額の見積もりを出す段階だ」とし、商用化に向けた開発も佳境を迎えている。川重は30年度に連結売上高の5%を水素関連で稼ぐとしている。
技術説明会では、人間が行う塗装や研削などの危険な作業をロボットが遠隔でできるようにする技術「サクセサー」も紹介した。今後は人工知能(AI)を活用することで複雑な動作プログラムの設定が不要になり、ロボットが自律して作業ができるようになるとする。川重は「AI推進室」を1月に設置し、同技術の全社的な活用を進めていく方針だ。(福本裕貴)
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