「安全資産」ドルにマネー集中 肺炎で2年9カ月ぶり高値

新型コロナ
2020/2/20 1:34
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ドルは2年9カ月ぶりの高値をつけた=ロイター

ドルは2年9カ月ぶりの高値をつけた=ロイター

【ニューヨーク=後藤達也】ドルが「安全資産」として世界のマネーを引き寄せている。ドルの総合的な価値を示す指数は19日、2017年5月以来の高値を付けた。世界で、景気の底堅さや金利の高さが際立つほか、新型肺炎の悪影響が比較的薄いとの見方が背景だ。かつて安全通貨とされた円よりドルが人気化し、円相場は約9カ月ぶりに1ドル=111円台へと下落した。

インターコンチネンタル取引所が算出するドルの名目実効レートは19日に99.72まで上昇した。市場で新型肺炎への警戒が強まった1月下旬から上昇を強め、1カ月で約2%上昇した。米中対立が強まっていた19年10月初めの水準を超え、17年5月以来、2年9カ月ぶりの高値となった。

「安全資産としての需要と投資妙味の両方が働いている」と米ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのウィン・シン氏は指摘する。米国は新型肺炎の感染者が10人あまりにとどまっているほか、米中対立が深まった19年も内需は強さを保った。このため有事に強い通貨としての意識が改めて高まっている。さらに米長期金利は先進国の中で高く、金利差の面でも資金が向かいやすい。シン氏は今後もドル高は続くとみる。

昨年まで安全通貨の代表格は円だった。だが日本では新型肺炎の感染者が増えているほか、19年10~12月の実質成長率が大きく落ち込んだ。景況感の差と新型肺炎の影響で、安全通貨の受け皿がドルにシフトしている。株式市場でも米国株は日経平均株価や新興国株に比べ堅調だ。

ドルは資源国の通貨に対する上昇率も際立つ。市場で肺炎への警戒が強まり始めた1月17日と比べると、ブラジルレアルやロシアルーブル、ニュージーランドドルに対して、3~5%ほど上昇した。中国の需要減で原油や銅の価格が大きく下落し、資源国の経済に打撃を与えるとの見方が強まっている。

新興国の利下げも影響している。新型肺炎への警戒から2月にはタイやフィリピンなどが相次いで利下げした。タイの政策金利は史上最低の1.00%になった。新興国の利下げドミノがドル金利の魅力を一段と高めている面がある。新興国にとっては利下げは景気を刺激する一方、資金流出が強まるとともにドル建て債務の返済負担が上がる副作用もある。

米国にとってもドル高は輸出に逆風だ。トランプ大統領はかねて輸出を下押しするドル高を嫌う発言を繰り返している。ドル指数の水準はトランプ大統領就任後の最高水準まであと4%ほどに迫っている。今後、ドル高に歯止めをかけるため、トランプ大統領が米連邦準備理事会(FRB)への利下げ圧力を再び強める可能性もある。

パウエル議長は11日、「新型肺炎は世界経済に影響するかもしれない」と指摘した。FRBは3月などの早期利下げにはなお慎重とみられるが、金融市場では年内にも利下げを再開するとの観測が浮上している。

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